「仮ナンバー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
仮ナンバーとはその名の通り「仮で道路を走行するためのナンバー」であり、様々な制約はあるものの、主に「車検切れになってしまった」というケースで利用することが多い。しかし実際のところ気軽に利用できるわけではなく、きちんと法律を守って利用しなければ罰則を受ける可能性がある。
また仮ナンバーは「臨時かつ早急に必要になる」ということが多いため、必要書類などについてもしっかりと覚えておかなければ取得することはできない。
そこで今回は、自動車ディーラーの営業としてお客様のために仮ナンバーの取得を実際にしていた筆者が、
- 仮ナンバーの種類
- 仮ナンバーの取得方法
- 仮ナンバーを取得した際の注意点
について、詳しく解説していこう。
内容は簡単にまとめており、誰でも理解できるため最後までご覧になってほしい。
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1.仮ナンバーが必要になる3つのシーン
仮ナンバーは通常のように、車に取り付けられているナンバーではない。
というのも仮ナンバーは「車検のない車の運行に必要なナンバー」ということができるからだ。
そのため仮ナンバーが必要になるシーンは、一般的に
という3種類に分けられる。 それぞれ「今現状ナンバーはない(もしくはあるけど有効ではない)が、公道を走行しなければならない」というシーンになる。 実際に道路運送車両法上でも、下記のように述べられている。 (臨時運行の許可) 第三十四条 臨時運行の許可を受けた自動車を、当該自動車に係る臨時運行許可証に記載された目的及び経路に従つて運行の用に供するときは、第四条、第十九条、第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない。 2 前項の臨時運行の許可は、地方運輸局長、市及び特別区の長並びに政令で定める町村の長(「行政庁」という。次条において同じ。)が行う。 (許可基準等) 第三十五条 前条の臨時運行の許可は、当該自動車の試運転を行う場合、新規登録、新規検査又は当該自動車検査証が有効でない自動車についての継続検査その他の検査の申請をするために必要な提示のための回送を行う場合その他特に必要がある場合に限り、行うことができる。 2 臨時運行の許可は、有効期間を附して行う。 3 前項の有効期間は、五日をこえてはならない。但し、長期間を要する回送の場合その他特にやむを得ない場合は、この限りでない。 4 行政庁は、臨時運行の許可をしたときは、臨時運行許可証を交付し、且つ、臨時運行許可番号標を貸与しなければならない。 5 前項の臨時運行許可証には、臨時運行の目的及び経路並びに第二項の有効期間を記載しなければならない。 6 臨時運行の許可を受けた者は、第二項の有効期間が満了したときは、その日から五日以内に、当該行政庁に臨時運行許可証及び臨時運行許可番号標を返納しなければならない。 簡単にまとめると、筆者がこれまでに述べてきたように「車検切れなどの場合に許可を受ければ、仮ナンバーを装着して走行が可能になる」ということだ。 ただし法律に違反してしまった場合には、下記のように が適用されてしまう。 そのためきちんとルールにのっとって仮ナンバーは利用しなければならないのだ。 ちなみに次章にて仮ナンバーの種類について紹介していくが、実は片方の仮ナンバーは「罰則がさらに重くなる」という特徴がある。 とはいえ、業者向けのナンバーになるためあなた自身は心配する必要はないと思っても良い。 詳しくは次章をご覧いただきたい。 仮ナンバーの種類は、下記に箇条書きした2種類だ。 それぞれ、以下に分けて説明していこう。 というのも臨時運行ナンバーは、「車検切れになっていたことを忘れていた」というケースで使われることの多いナンバーだからだ。 そのため比較的「気軽に借りられる」という特徴があり、あなた自身にはこちらのナンバーしか関係ないと思っても問題ないだろう。 詳しい取得方法に関しては、次章にてご紹介していく。 もう片方の仮ナンバーは「回送運行ナンバー(許可)」という正式名称を持ち、俗に「赤ナンバー」とも呼ばれており、業者が整備工場間の移動などの際に利用することの多いナンバーだ。 そしてこれは「中古車販売店や整備工場などの専門業者しか持つことのできない仮ナンバー」となっている。 そのため陸運支局から業者が「一定期間借りる」というものであり、一般ユーザーが取得することは不可能である。 つまりこちらに関しては、あなた自身は覚える必要が無いと思っても良いだろう。 以上が簡単な説明だが、あなたに関係あるのは臨時運行ナンバーの方だ。 そのためイラストを見て、「赤ナナメ線の入っている方のナンバーを借りる」と覚えておこう。 そして次章では、取得方法と必要な費用について解説していくので、引き続きご覧いただきたい。 まず臨時運行ナンバーの取得方法について、下記に箇条書きしておいたのでご覧いただきたい。 それぞれ、以下に分けて分かりやすく説明していこう。 先程載せた、仮ナンバーのイラストで予想できたかもしれないが、実は仮ナンバー(臨時運行ナンバー)は、市区町村単位で管理されている。 そのためまずはあなたの現住所に該当する市区町村役場へ行く。
多くの場合は「市民課」などの窓口が該当しており、基本的に窓口上部に「仮ナンバー」「臨時運行ナンバー」と書かれているため、迷うことはないだろう。 そこで「車検切れになってしまったので、仮ナンバーを貸してほしい」と伝えればいい。 ちなみに車検切れ状態の車で市区町村役場まで行くと、無車検車の運行になるため罰則の対象となってしまう。 窓口にて仮ナンバーの貸し出しを希望したら、必要書類を提出する。 仮ナンバーを借りるために必要な必要書類は、 の4つだけである。 そのため特に心配せずとも、実は簡単に申請することが可能である。 そしてほとんどの自治体では、750円程度の手数料を納付する必要がある。 とはいえ必要書類と手数料さえ納付してしまえば、その場で窓口から仮ナンバーを貸し出されるため、安心してほしい。
2.仮ナンバーには2種類ある
種類1.臨時運行ナンバー
臨時運行ナンバーは、一般のユーザーが使うことの多いナンバーである。種類2.回送運行ナンバー
3.臨時運行ナンバー取得の3つの流れと費用
流れ1.市区町村役場へ行く
流れ2.必要書類の提出
※自治体によっては別途申請書など、窓口に用意された書式が必要な場合もある。
流れ3.期間内に返却する
仮ナンバーには貸し出し期限があり、自治体によって異なるのだが、おおむね3~5日となっている。
つまり3~5日以内に車検の取得をして返却しなければならないのだ。
また仮ナンバーの貸し出しは、土日祝日を含めて3~5日の場合がほとんどであるため、借りるタイミングと車検を受けるタイミングについては注意が必要である。
そのため筆者としては、祝日を挟まない月曜日に借りることで仮ナンバーを有効活用できるため、オススメしている。
また仮ナンバーの返却を期限内にしなければ、先程の罰則と同じく
が適用されてしまうため、注意が必要である。
以上が仮ナンバーの取得方法の流れだったが、
- 必要書類をそろえる
- 750円程度の費用を用意しておく
というだけで、簡単に借りられそうだということは理解できただろう。
とはいえ「面倒くさい」というのが本音のはずだ。
その場合には、筆者としてはディーラーや整備工場を有効活用することをオススメしている。
というのも、ディーラーや整備工場では積載車を用意している場合が多いため、仮に車検切れであっても車載してもらえば、ディーラーや整備工場まで運んでもらい、そのまま車検を受けることが可能になるからだ。
そのため一度ディーラーや整備工場に連絡をして、「車検切れだけど車載してそのまま車検を受けたい」と伝えてみることがオススメである。
実際に筆者自身、会社にとって重要なお客様からの要望で、仮ナンバーではなく社債による対応をしたことがあるため、「自分で借りるよりも圧倒的にラク」ができる可能性があるのだ。
とはいえ断られる可能性も十分にあるため、仮ナンバーを借りた後の取り付け方法に関して、一応説明しておこう。
4.仮ナンバー(臨時運行ナンバー)の取り付け方
仮ナンバーを借りた後は、車検場や整備工場まで走行するために取り付けをしなければならない。とはいえ非常に簡単であるため、特に身構えなくても大丈夫だ。
というのもナンバーは、そもそも「ネジ止め」がされているだけであり、仮ナンバーもネジ止めによって固定するだけである。
そのため今取り付けられているナンバーを一度取り外し、新たに仮ナンバーを取り付ければ問題ないということになる。
しかし普通乗用車のリアナンバーは、「封印」と呼ばれるキャップ上のフタがされているため、取り外しができないのが現状だ。
その場合には、封印部はネジ止めをせずに片側だけをきつくネジ止めしておき、今のナンバーの上に被せる形で取り付ければいい。
緩まずに車検場や整備工場まで走行することができるため、問題ないと思っても良いだろう。
臨時運行許可証をダッシュボードなど車内に置く
役所で仮ナンバーを取得した時に「臨時運行許可証」というものがもらえる。
これもしっかり車に乗せておく必要があるので、忘れないでほしい。
以上、仮ナンバーの取り付け方に関しての説明を終了するが、ご覧いただきた通り「超簡単」というのが本当のところだ。
ただし次章に説明していくように、仮ナンバーの取り付けを含めて、いくつかの注意点がある。
そのためしっかりと次章にて説明する注意点を守った上で、仮ナンバーの活用を検討してほしい。
5.仮ナンバーを取得する際の4つの注意点
仮ナンバーを借りる場合の注意点は、下記に箇条書きした通りだ。
それぞれ以下に分けて説明していくのでご覧いただきたい。
ダッシュボードNG
仮ナンバーの取り付け方法は先ほど明記した通り簡単だが、それでも「いちいちネジ止めを外して取り付けるのは面倒くさい」と思うのが実情だ。
そのためよくあるのが「フロントナンバー分は、ダッシュボード上に置いておく」ということである。
実際に筆者自身も業務中に仮ナンバーが必要な場合はそうするのだが、実は厳密に言うと「NG」というのが本当のところだ。
もちろん業務中に毎回ダッシュボード上に置いたとしても、取り締まられたことはないのだが、それでも法律上はNGであり前述した罰則が待ち受けている。
そのためネジ止めに関しては面倒くさがらずに、きちんと所定の位置へ取り付けることが重要である。
封印はつぶさないようにする
ナンバーに取り付けられている封印と呼ばれるフタ状のものは、非常に壊れやすいという特徴を持っている。
そして「きちんと許可を受けて取り付けが完了している」という意味を持っているため、大きく破損してしまうと再発行してもらわなければらならないのだ。
そのため仮ナンバーを封印の上から取り付ける場合には、封印をつぶさずに片側のネジ部分だけで固定させなければならない。
とはいえ封印の再発行にかかる費用は200~500円程度と非常に安いため、費用だけを考えると「最悪、つぶしてしまっても問題ない」と考えてしまうかもしれない。
しかしナンバーの登録されている陸運支局まで出向かなければならなくなるため、「手間」を考えると、封印をつぶさないよう慎重に仮ナンバーの取り付けはすべき」と考えておくのが吉だろう。
有効期間に注意
仮ナンバーは先ほども述べたように、3~5日間という貸し出しの期間が決まっている。そして返却しそびれた場合には、先程のように罰則が待ち受けているのだ。
そのため必ず貸し出しの有効期間内に車検を完了させ、返却をしなければならないと思ってほしい。
また面倒くさければ、先程筆者が述べたように「ディーラーや整備工場の積載車でお願いする」というのが確実でラクだと思ってほしい。
自賠責保険への加入
仮ナンバーを借りるときに忘れがちなのが「自賠責保険」である。
というのもそもそも仮ナンバーを借りられるのは「自賠責保険が有効な車のみ」という限定があり、借りる際には1ヶ月で構わないので加入しておかなければならない。
自賠責保険の加入方法は、国土交通省が管理している「自賠責保険のポータルサイト」で詳しく解説されている。
ざっくりいうと、損害保険会社(組合)の支店等をはじめ、クルマやバイクの販売店などで加入できる。
下記に自賠責保険の1か月単位の金額を載せておいたのでご覧いただきたい。
- 自家用乗用自動車…6,090円
- 軽自動車…5,880円
つまり自賠責保険が残っていない場合には、仮ナンバーの手数料と併せて7,000円弱が必要になると覚えておこう。
ちなみに加入している任意保険に関しては、保険の更新をしている限り「有効」であるため、事故に対しては安心してほしい。
もし、新たに加入するならぜひとも「自動車保険一括見積もり(保険スクエアbang!)」を利用して、安い任意保険を探すことをオススメしている。
6.まとめ
以上、仮ナンバーに関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 仮ナンバーは主に「車検切れの車」に使うことの多いナンバー
- 仮ナンバーは市区町村単位で管理されているため、市区町村役場で借りることになる
- 仮ナンバーを借りるための手数料は750円程度で、自賠責保険1か月分を含めても7,000円弱になる
- 筆者としては仮ナンバーを借りる手間やリスクを考えて、ディーラーや整備工場の積載車で運んでもらい、車検を受けるのがオススメ
- 任意保険について考えたタイミングなので、「自動車保険一括見積もり」を使って保険料の見直しをするのもオススメ