しかし一定期間を試乗車として使用すると、あとは中古車市場に出してしまうのだ。
そう「試乗車落ち」と言われる、絶対に故障のない走る極上車種の出来上がりである。
実はこの試乗車落ちと言われる車は、試乗車として使用されていたという経歴を持つため、非常に安いという特徴がある。
とはいえ試乗車落ちを探すのは至難の業であり、さらに購入できたとしても「デメリットをよく理解しなければ損してしまう」ということにもなりかねないのだ。
そこで今回は、自動車ディーラーの営業マンである筆者が、試乗車落ちと言われる極上車種の探し方やメリット・デメリットについて、詳しく解説していこう。
当ページをご覧になれば、試乗車落ちの中古車を「簡単に手に入れられそうだ」ということが理解できるのは間違いない。
※似たような車両に「新古車」や「未使用車」がある。これらの車両は、ほぼ試乗もされていない新車当然の車のこと。詳細は下記より確認してほしい。
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1.試乗車落ちとはどのような車両なのか
まず試乗車落ちの車とはどのような車両なのか、説明していこう。
試乗車落ちとは
- ディーラーで新車登録をし、試乗車として使われた車
- 試乗車として一定期間使用したのちに、安く売りに出される
という特徴を持っている。
試乗車として使用されていたということは、お客様に向けて「いつもきれいな状態」と保っているということ。そして試乗車として何人ものお客様が乗っているため「中古車」として安く売りだされるため、極上かつ安く中古車を購入したい人にとっては、本当にオススメの車両なのだ。
とはいえ気になるのは「一体どの程度の期間、試乗車として使用されるのか」ということだろう。
実際に筆者が勤務する自動車ディーラーでは下記のような基準で、期間が定められている。
- 期間としては1年以内が目安
- 走行距離は1,500~2,500㎞が目安
つまり「ちょっと使われた程度」の期間で、試乗車落ちとして在庫処分をしてしまうというわけだ。
もちろん、ディーラーによっては何年間も試乗車として使われているものもあり、筆者は2年落ち、2万キロの試乗車落ちの中古車を購入したことがある。
でも確実に言えることは、お客様にふだん試乗車(時には代車)として使われていり定期的にメンテナンスも行われているため、確実に走る中古車なのだ。
また価格についても気になるかと思うので、正直にお教えしよう。
価格は走行距離や車種の人気度にもよるが、筆者のディーラーでは新車価格から、15%程度引きで売りに出すことが多い。(※もちろん、筆者が購入したような2年落ち、2万キロを走ったような車であれば、半額近くに落ちていることもある。)もちろん人気車種の場合にはそれほど安く出さなくても需要は高いため10%未満の割引率で出してしまうこともあるが、基本は10~15%の間だと思っても問題ないだろう。
つまりイメージとしては「新車で購入するよりもお得になるのは間違いない」ということだ。
また新車の値引きに関しては、全体の値引き率で「7~8%いけばかなりお得になっている方」ということができるため、いかに試乗車がお得か理解できるだろう。
ちなみに同業他社の知人に確認したところ、詳細は教えてくれなかったが「まあまあ同じようなもの」ということだったため、信頼してもらっても大丈夫である。
そのためここまでの説明をご覧になる限りでは、試乗車落ちの車には「良いところばかりがある」と思ったのではないだろうか。
とはいえデメリットもあるに決まっている。
そこで次章では、試乗車落ちのメリット・デメリットについて、詳しく解説していこう。
2.試乗車落ちのメリット・デメリット
試乗車落ちの車にはメリットとデメリットがあるが、まずはメリットについて下記に紹介していこう。
- 安い
- きれいで故障なく走る
- ディーラーが責任もって保管していた(所在が明確)
前述したものも含まれるが、以下に分けて説明していく。
メリット1.安い
試乗車落ちの車は先ほど述べたように「新車と比較すると安い」ということが大きなメリットといえる。
イメージとしては新車を100とすると、試乗車落ちは85~95くらいの価格で同じ仕様の車両が購入できるのだ。そのため「新車が欲しいけど、安く済ませたい」と思っている人には本当にオススメできる。
メリット2.きれいで故障なく走る
試乗車落ちの車は他の中古車と比較すると「きれい」ということができる。
というのも試乗車落ちの車は、もともとの目的が「この車を試乗したお客様に新車を買う気にさせる」というものであるため、常日頃からケアを怠らずにきれいな状態を保っているのだ。
またお客様自身も「借り物の新車」として扱うため、傷つけないように細心の注意を払って乗車することが多い。
定期的にメンテナンスも行われいるため、故障なく確実に走る中古車とも言え、かなり安心できる。そのため間違いなくきれいかつ絶対に走る車なのだ。
メリット3.ディーラーが責任もって保管していた(所在が明確)
試乗車として使われる車は個人がオーナーとなることはなく、基本的にディーラー自身が所有者となっている。
つまり前オーナーが「どのような企業なのか」ということをあらかじめ知ることができ、結果的に安心感があるのだ。
例えば普通の中古車の場合、「前のオーナーが変な人だったらどうしよう…」という不安を持つことがあるが、試乗車落ちではその心配がなく、きちんとした企業に管理されていたことが先に分かるといえる。
一方、デメリットは下記の通りである。
- 誰がどのように使ったか分からない
- 仕様が簡素な場合がある
こちらについても以下に分けて説明していこう。
デメリット1.誰がどのように使ったか分からない
試乗車はディーラーがオーナーとなっているが、実際に乗車する人は「様々なお客様」である。
そしてお客様自身、「買う気が無いけど乗りたいだけ」という人は多いため、正直なところ「誰がどのように使ったか分からない」というデメリットはある。
例えば
- 加速の良さを感じたいと思い、急加速や急発進をする人
- ブレーキ性能を確かめたく、急ブレーキをかけた人
- 「自分の車ではない」と、乱暴にドアの開閉をした人
などをイメージすると分かりやすく、実際に筆者のディーラーへ来るお客様の中にもそのような人はいる。
しかしフォローをするならば、ディーラーとしては試乗車落ちの中古車として売りに出すとき、きちんと各部の点検や整備をした上で販売をしているため、いくら乱暴な扱いを受けても「品質だけは保っている」といえるのだ。
また国産車であれば元の品質が高すぎるため、試乗車として使われる期間中の扱いに対して「ビクともしない」というケースが多い。
そのため少し気になる部分はあるものの、心配するほどのものではないということができるのだ。
デメリット2.仕様が簡素な場合がある
試乗車として使っている期間、ディーラー側からすると「まだ売ることのできない在庫車」であり、長期在庫・不良在庫と認識する場合がある。
つまり今すぐにお金にならない在庫車のことを指す。
その結果として期間中に少しでも使うお金を減らそうと、グレードやオプションなどの仕様が簡素であるケースがあるのだ。
そのため仕様に関しては、ディーラーオプションなどの「後付け可能なモノ」を除き、試乗車を購入するとそのままの仕様で購入しなければならないといえる。
このデメリットに関しては正直なところ「試乗車を購入するうえで最も悩むべき部分」といえるため、試乗車を狙う場合には「自分が求めている最低限の仕様が組み込まれているか」を確認すべきである。
以上が試乗車落ちのメリットとデメリットだったが、筆者の結論としては「それでも試乗車は超オススメ」ということである。
もちろん仕様が限定される点などを挙げると不安になってしまうかもしれないが、新車ではいくら交渉しても引き出せない価格で新車同然の車が購入できるというメリットは上回らないだろう。
そのためもしお目当ての車種で試乗車落ちの車が見つかった場合には、迷わず購入すべきだと筆者は断言する。
とはいえ、そもそも試乗車落ちの車を探すにはどうすればいいのか、気になるだろう。
そこで次章にて、試乗車落ちの車を探す賢い方法について言及していこう。
3.試乗車落ちの車を探す3つの方法
試乗車落ちの車はそもそも中古車市場に多く出回っていない。
なぜなら全国各地のディーラーで一斉に試乗車落ちの車を売りに出したとしても、中古車の総数と比較すれば「1%未満」ということができるため、あなたの手に取れる可能性は極めて低いからだ。
そこで下記に2点、試乗車落ちの車を探す方法を箇条書きしておいた。
- ディーラーに通い詰める・連絡を待つ
- 中古車検索サイトで探す
- 「 ズバット車販売 」を使う
それぞれ以下に分けて説明していく。
方法1.ディーラーに通い詰める
1つ目の方法は、ディーラーに通い詰めることである。
正直なところ、これほど確実な方法はないといえるだろう。
とはいえディーラーとしては「新車を購入させたい」という意思を持っているため、基本的にディーラーに問い合わせても予約すら受け付けてくれないことがほとんどだ。
そのため「付き合いのあるディーラーなら、試乗車落ちを回してくれる可能性がある」という程度に考えておくのがベストだろう。
実際の流れとしては
- 付き合いのあるディーラーで、「試乗車落ちになったら自分に回してほしい」と依頼
- その車両が試乗車落ちになるタイミングは教えてくれないことがほとんどなので、何度も通って聞き続ける
- 試乗車落ちになったらすぐに購入(すぐに購入しなければ別のお客様に回される)
ということになる。
ただしディーラーとしてはやはり新車を売った方が利益になるため、試乗車を別の得意先に回してしまい、あなたに対しては「タイミング悪く早い者勝ちで売れてしまいした。なので新車を安くしますのでこちらでお願いします。」と言われてしまうケースがあるのだ。
つまり
- ディーラーに通い続けなければ購入の可能性すらない
- ディーラーに通い続けていても購入できない可能性がある
ということになり、確実性はそれほど高くないため「希望的観測」として考えておくべきといえるだろう。
方法2.中古車検索サイトを使う
実は中古車検索サイトでも試乗車落ちの車は探すことが可能である。
というのも「グーネット」や「カーセンサー」といった中古車検索サイトでも、多くはないが登録している販売店で取り扱っているからだ。
そして探す方法としては2種類あり、一つ目は「トップページの検索窓で“試乗車”と入れる」ことである。
グーネット
カーセンサー
2024年12月現在では、グーネットで3,340件、カーセンサーでは7,700台がヒットした。ただしこの件数は、車種混合の検索数であるため「希望する車種は格段に少ない」ということになる。
また車種別に検索するには、
- 車種の選択
- 地域の選択
- 詳細条件でも絞込で「試乗車」を選択
という流れとなり、下記のキャプチャ画像通りに進めていくことになる。
プリウスを試乗車落ちを探すのを例にして説明していく。
グーネットで探す
「グーネット」からメーカーを選択。次に車種を選択する。今回はプリウス。
もっと詳細な条件で絞り込みを押す。
地域を選択する。
車両条件で「展示・試乗車」にチェックを入れて再検索をする。
するとプリウスの試乗車落ち一覧が出てくる。
カーセンサーで探す
「カーセンサー」トップページよりトヨタを選択する。
続いて車種(今回はプリウス)を選択。
地域を選択する。
登録(届出)済み未使用車をチェックを入れて検索する。(※カーセンサーでは「試乗車」の詳細検索ができないため、試乗車と同様の状態といえる「未使用車」で検索)
ただしこの方法で検索しても、2024年12月現在で、全国を見ても103台しかヒットしていない。
つまりこの方法についても全国的に「少ない」といえるため、確実性はそれほど高くなく、やはり「希望的観測」として考えておくべきといえるだろう。
とはいえ諦めないでほしい。
次の方法を利用すれば、ほぼ間違いなく探すことができるため、しっかりとご覧になってほしい。
方法3.ズバット車販売には非公開車両が満載
「 ズバット車販売 」とはインターネット上であなたの希望する中古車を紹介してくれるサービスである。
そして中古車販売の最大手ともいえるガリバーと提携していることから、非公開車両を含め、紹介できる中古車の数は他社と比較しても圧倒的に多いといえるのだ。
また希望する条件として「○○という車の試乗車落ちが欲しい」と言えば、ズバット車販売の担当者が探して紹介してくれる。
さらにいうとやり取りをするのはズバット車販売の担当者だけであるため、ガリバーの営業マンと余計な交渉などをする必要はなく、試乗車落ちと似た条件の「新古車」や「未使用車」といった車種も紹介してくれる。
そのため「希望だけ伝えて、待っていればいい」というラクで確実に試乗車落ちの車を探すことができる方法といえるのだ。
そして申し込み自体も非常に簡単で、希望する
- 希望車種
- おおよその年式
- おおよその予算感
- 車両相談に必要な氏名などの個人情報
を入力するだけであるため、1~2分あれば完了してしまうため、ラクして確実に試乗車落ちなどの極上車種が見つかるサービスと言っても過言ではない。
備考欄があるので、ここに下記のように入力することで新車とほぼ変わらない非公開車両を紹介してもらえる。
新車同然、もしくは非常に状態の良い車を安く買いたいという場合には、この方法で「 ズバット車販売 」に問い合わせをすることがオススメなのだ。
4.まとめ
以上、試乗車落ちの車に関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 試乗車落ちの車は売りに出されるタイミングはバラバラだが、おおむね1年・1,500~2,500㎞以内が目安となる
- 試乗車落ちの車は車種にもよるが「新車の15%引き」程度の価格で売りに出されることが多い
- 試乗車落ちの車には仕様限定などのデメリットもあるが、圧倒的に価格が安いためオススメ
- 試乗車落ちの車を探すにはディーラーに通い続けるよりも、「 ズバット車販売 」というサービスを利用して探してもらった方が確実でラク