車を購入したり、洗車をしたりすると「コーティングをしてはどうか」と提案されることがある。
そして同時にガラスコーティングというものをオススメされるケースがある。
- そもそもガラスコーティングとは何なのか
- ガラスコーティングは実施した方が良いのか
- ガラスコーティングをしきりに勧められるが、デメリットはないのか
- その他に何かオススメの方法はないのか
そこで今回は、元ディーラー営業マンとして実際にお客様へコーティングをオススメしていた立場の筆者が、ガラスコーティングについて詳しく紹介していこう。
盲目的に実施してしまうことの多いガラスコーティングのデメリットについて知ることで、本当の意味でのオススメを知ることができるのは間違いない。
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1.そもそもガラスコーティングとは何なのか
まずガラスコーティングについて説明する前に、車の塗装面について簡単に説明しておこう。
車の塗装面は大きく分けると下記のような4層に分かれている。
- 素材面=鉄板
- 下地の塗装面=ボディカラーの色乗りを良くする役割
- ボディカラーの塗装面=車の見た目の色の面
- クリア塗装面=保護膜のような役割
そしてガラスコーティングは「第5の層」的な役割で施工される。
つまりさらなる保護面として、上からガラス面を作り上げていくといったイメージになるのだ。
昔で言う「ワックスを塗る」というのは、これに近い。
ただしワックスは磨くとツヤ感は出るものの、汚れなどが付着しやすく、また手入れをする周期が短いためここ最近ではマイナーになりつつある。
そしてガラスコーティングをはじめ、次章に紹介する2種類のコーティングが主力となっているのだ。
2.今主力のコーティングの種類は2種類
ここ最近、ワックスに代わって主力になっているのは下記に挙げた2種類のコーティングである。
- ポリマー系(樹脂系)
- ガラス系
それぞれ簡単に特徴を説明していこう。
その1.ポリマー系(樹脂系)のコーティング
いわゆるポリマー系のコーティングは、簡単に説明すると樹脂を車の表面にくっつけて、膜のような形で保護していくコーティングになる。
どちらかというと「軟らかい」といったイメージで、磨くことでツヤが出やすくなる。
よく「ピカピカ・ツヤツヤになる!」と言われるコーティングがコチラだ。
ただしワックスよりもマシではあるが、耐久性としてはそれほど長くなく「1年に1度程度は再度コーティングすべき」ということができる。
その2.ガラス系のコーティング
ガラス系のコーティングは、文字通り「車の表面に、さらにガラス面を作る」といった形になる。
つまり薄っすらとガラスを塗り付けていくような格好である。
そのため「硬い」というイメージで耐久性に関してはバツグンといえるため、結果的に5~10年の耐久性があるものも多い。
しかしポリマー系のコーティングと比較するとツヤ感には欠けるため、「塗装面そのままの色」が持続すると考えた方が良いだろう。
ちなみに最近スマホへもガラスコーティングを施工する業者がいるが、これは車へのガラスコーティングとほとんど同じで、特別にツヤ感が出ることはない。
ここまでの説明でコーティングの種類については理解できたかと思うが、今どきカー用品店へ行けば「スプレータイプ」などの、自分でコーティングができるセットが売られている。
そのためあなたも自力で実施してみようと考えたことはないだろうか。
そこで下記に、簡単な自力コーティングの方法を紹介しておこう。
自分でコーティングを施工する方法
自分でコーティングを施工する場合、まずは下記のようなコーティング剤を購入する。
そしてコーティング剤が用意できたら、下記の手順通りに進めていこう。
- キレイにカーシャンプーを使って入念に洗車をする
- 乾拭き後、しっかり乾かす
- 表面のホコリや鉄粉を取り除く(鉄粉除去剤などを利用)
- コーティング剤を塗布する
大まかにはこのような手順で実施していく。
ただし、先に述べておくが「自分では絶対にやらない方が良い」というのが本音である。
というのも上記の手順でもできないことはないのだが、塗装面にムラができやすく、結果的に「表面の光り方がゆがむ」ということができるからだ。
表面の光り方が変わると、車自体がゆがんで見えてしまうし、せっかくキレイな車も「何か不格好になってしまう」ということができる。
また上手くホコリや鉄粉などが取りのぞけなかった場合、コーティング剤がこれらを閉じ込めることになるため、結果的に汚れが付いたままになってしまうのだ。
そのため自分でできないことはないが、プロ目線で見ると積極的に筆者がオススメすることはないと思ってほしい。
また当ページのメインテーマであるガラスコーティングは、耐久性が高いもののデメリットもあるのが実情である。
そこで次章では、ガラスコーティングのデメリットについて解説していこう。
3.ガラスコーティング3つのデメリット
ガラスコーティングには、下記に挙げた3つのデメリットがある。
- 価格が高すぎる
- 持続期間は長いが「傷による汚れ」はついてしまう
- ツヤが出にくい
それぞれ以下に分けて紹介していこう。
デメリット1.価格が高すぎる
ガラスコーティングは、正直なところ価格が高すぎる。
どのくらい高いのかというと、おおよそ下記の通りである。
- 軽自動車、コンパクト…8~10万円前後
- セダン、ステーションワゴン、ミドルサイズSUV、クーペ…10~15万円前後
- ミニバン…12~18万円前後
- フルサイズSUV…20万円前後~
ザックリと10~20万円程度かかると思っておけばいい。
とはいえ仮に10年間の耐久性があったとしても、一度にこれだけの金額を支払うのは「かなりキツイ」と思うだろう。
そのため価格面としては、大きなデメリットになってしまう。
デメリット2.持続期間は長いが「傷による汚れ」はついてしまう
持続期間=耐久性が高く、長いものでは10年もつと言われているが、「放ったらかしでキズが防げる」というのは、大きく誤解していることが多い。
というのも確かに10年間は、先ほど紹介した塗装の4番目の「クリア塗装」の部分は守られるかもしれない。
しかしガラスコーティング自体はキズが付くため、キズが深く浸透しないだけで「表面はキズだらけになってしまう」ということが多いのだ。
実際、あなた自身もイメージできるかと思うが、スマホなどの強化ガラスは使っていく内に「汚れやキズが分かる」というような状態になるだろう。
車は日常的に外気にさらされているほか、細かい砂粒などとよくこすれ合うため、結果的にスマホよりも分かりやすくキズが付いてしまうのだ。
またその傷から砂ぼこりなどが入り込み、汚れとなることもある。
そのため耐久性は高くても、キズや汚れが完璧に防げるわけではないと覚えておこう。
デメリット3.ツヤが出にくい
先ほども述べたが、ポリマー系のコーティングと比較して、ガラスコーティングではツヤ感が出にくい。
これは特性なので仕方のないことではあるが、ツヤ感が欲しければワックスをかけるか、ポリマー系のコーティングを施工するほかないと覚えておこう。
正直、高いお金を支払うのであればもっと違う方法を検討したいだろう。
そこで筆者がオススメするのが、今まで何度も述べてきた「ポリマー系」と呼ばれるコーティングである。
次章にて紹介していくが、この方法は筆者がプロとしてオススメしているので、ぜひ実践してほしい。
4.プロから見るとポリマー系で定期施行がオススメ
ポリマー系のコーティングの特徴を覚えているだろうか。
そう、ツヤは出るが1年に1度程度は再度かけなおしをすべきというものだった。
また同時に、ガラスほどとは言わないが、きちんとボディを守れるだけの保護をしてくれる。
そして価格面では、
- 軽自動車、コンパクト…2万円前後
- セダン、ステーションワゴン、ミドルサイズSUV、クーペ…3万円前後
- ミニバン…4~5万円前後
- フルサイズSUV…5万円前後~
となっており、ガラスコーティングと比較すると格安ということができる。
ただし1年に1度かけなおしをするのは、面倒だと感じてしまう。
しかし考え方を変えてほしい。
というのも、保護はしっかりされているわけで、さらに1年に1度「ピカピカのツヤツヤになる」といえるからだ。
特に価格面でもそれほど高額すぎるわけではなく、一般的な車の相場で考えると3万円前後で済ませることが可能である。
そのため1年点検や車検のタイミングで、同時に施工してしまえば「意外と気にならない程度の金額」ということができるのだ。
以上のことから筆者としては、ガラスコーティングで盲目的に「当分の間は大丈夫!」と思うのではなく、ポリマー系のコーティングを定期的に施工することの方がオススメと結論付けている。5.まとめ
以上、ガラスコーティングに関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- ガラスコーティングは「車の保護面の上からさらにガラスを薄く載せる」といった保護方法で、耐久性が非常に長いという特徴がある
- ただしツヤ感が出にくい点や価格面で、大きなデメリットがある
- 一方、ポリマー系のコーティングに関しては耐久性こそ劣るものの、ツヤ感も出て保護もできる
- そのため筆者はポリマー系のコーティングを定期的に施工して、1年に1度ピカピカの状態にするのがオススメ