車売却をするとき、必要書類の中に「委任状」というものがある。
当ページにたどり着いたあなたは、すでにご存じだろう。
そんな委任状は字ヅラだけを見ると「自分の責任においてすべてを相手に任せる」という意味を持つように見えてしまい、不安が生まれる。
しかし決してあなたをダマすために必要な書類ではないため、安心してほしい。
ただし委任状は必要な内容をきちんと内容を記載しておかなければ、効力を発揮しないため、最悪のケースでは「せっかくの車売却も白紙になってしまう」ということになりかねない。
そこで今回は、自動車ディーラーの営業マンとして、実際に車査定や新車販売などを経験してきた筆者が、車売却の際の委任状の役割や注意点について詳しく解説していこう。
簡単に説明をしていくことはもちろん、法的な効力を持つ書類でもあるため、必ず最後までご覧になることをオススメする。
見たいところをタップ
1.車売却をするときに必要な委任状は「手続きを委任する」という書類
先に述べておくが、車売却の際に必要とされる「委任状」は超重要書類のひとつである。
なぜならこの書類が無ければ車売却そのものが成立しなくなる可能性があるからだ。
そこでまずは委任状とはどのような書類なのか、説明していこう。
車売却で聞くことの多い委任状は、「お客様の代わりにディーラーや買取店が、法的な手続きをするために必要な書類」である。
つまり手続きの代行書類というイメージをすると分かりやすいだろう。
例えば車売却をする際には、
- 一時抹消
- 名義変更
などの手続きをして、車をあなたの所有物ではなくしてから中古車として再販していく。
しかし所有権を別の人(買取店など)に移すということは、法的な手続きをしなければならない。
そして名義変更などの手続きは個人でもできるぐらい単純なものではあるのだが、あなた自身「自分でしてみよう」とは思わないだろう。
そこで委任状にて「買取店(またはディーラー)に手続きの代行をお願いする」という旨を記載しておき、実際にこれらの手続きをしてもらうのだ。
つまり委任状なし、もしくは委任状に不備がある状態では、ディーラーや買取店は手続きができないため「車売却そのものが成立しない」ということになるのだ。
またここで車売却以外にも委任状が必要となる手続きについて、下記にいくつか代表的なものを挙げておこう。
- 新車の購入→車両の新規登録
- 親や子への譲渡→名義変更
- 車の仕様の変更→構造変更
- 車の廃車処分や一時的な休車→抹消、一時抹消
これらの手続きは車売却と同じく、「自分でせずにディーラーや買取店に代行してもらう場合には委任状が必要」であるため、念のため覚えておいてほしい。
さて、ここまでの説明で委任状の役割や必要なケースについては十分に理解できただろう。
そこで気になるのは「委任状はどのようなフォーマットの書類で、どのように記入していけばいいのか」ということだろう。
そこで早速、次章にて詳しい内容を説明していこう。
2.車売却の委任状のフォーマットと書き方
実は委任状には決まったフォーマットがない。
というのも委任状は
- 代行を依頼する「委任者」の氏名と住所
- 手続きを代行する「受任者」の氏名と住所
- 手続きの種類
- 手続きの対象となる車の「登録番号」または「車台番号」
を記載する欄があれば、基本的に有効な書類となるからだ。
しかし車の登録を管理している国土交通省のホームページでは、下記のような委任状の見本が公開されているため、こちら(http://www.mlit.go.jp/common/000226587.pdf)からダウンロードしてこちらを使用するのが最も確実といえる。
出典元:国土交通省のホームページ「自動車 登録手続き」より
またディーラーや車買取店からも同様のものを入手できるため、査定依頼時にもらっておけば問題ない。
そして同ページでは委任状の記載例もあるのだが分かりにくいため、筆者が下記に見本を再作成しておいた。
1~5までの項目を間違えることなく記入することが必要であるため、以下に分けてそれぞれの内容を説明していこう。
①受任者の氏名・住所
受任者とは、車売却をするディーラーや車買取店のことである。
この項目は通常、あなたが手続きの代行を依頼する業者が記入するため、あなたが記入するときは空白でも問題ない。
②申請の種類
車売却をするときは、手続きの種別として「移転登録」と記載しておく。
他にも「変更登録」「抹消登録」があるが、これらは構造変更や一時抹消をするときに使用する文言なので、今回は関係ない。
③車台番号または登録番号
一般的には登録番号ではなく、製造時に個体ごとに割り振られている車台番号を記載する。
なぜなら登録番号は今後変化する可能性があるが、車台番号はその車が廃車による処分をされるまでは永遠に生き続ける固有の番号だからだ。
そのため車検証に記載されている車台番号を確認して、記入しておく必要がある。
また車台番号については、ディーラーや車買取店が記載しておいてくれる場合もある。
④委任者の氏名・住所
委任者は手続きを代行する人であるあなたになる。
こちらはあなた自身が、自分の手で氏名と住所を記入しなければならない。
あなた以外の人間が記載してしまうと手続きができない場合があるため注意が必要である。
⑤実印
最後に委任者本人の「実印」の押印が必要になる。
なぜなら「委任者本人が手続きの代行を依頼した」という証明になるからだ。
そのため必ず実印の押印をしなければならない。
また押印したものが実印であることを証明するために「印鑑登録証明書」の添付も必要になる。
印鑑証明を添付し忘れると、手続きができないため注意すべきである。
以上が車売却に必要な委任状の記入見本だったが、それほど難しいものではないということは理解できただろう。
しかし内容は非常に重要であるため、必ずよく確認をしたうえで車売却を完了させなければならない。
とはいえ安心してほしいのは、ディーラーや車買取店の担当者は「きちんとフォローしてくれる」ということだ。
例えば筆者がお客様に委任状の記入をお願いするときは、「〇を付けておいた部分だけでいいので、記入しておいてくださいね」と案内していた。
またよほど時間がないとき以外はお客様と、その場で委任状は作ってきた。
そのため心配せずとも、担当者に任せておけば基本的には問題ないといえるのだ。
3.まとめ
以上、車売却に必要な重要書類である委任状について解説してきたが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 委任状とは「法的な手続きの代行を依頼するために必要な書類」である
- 委任状にフォーマットはないが、国土交通省のものを使うと確実かつラク
- 委任状の記載事項は間違いの内容に、きちんと記入しなければ手続きが完了しない