
「車庫飛ばし」という言葉をご存じだろうか。
一般的には悪い意味として述べられることの多い言葉だが、実際のところ
- 車庫飛ばしの意味が分からない
- そもそも本当に悪いのかどうか
- 今自分の立場が「車庫飛ばし」の状態かどうか
など、車庫飛ばしについて知りたいことは山ほどあるだろう。
先に結論を述べると車庫飛ばしは「違法行為」である。
そのため悪いイメージとして語られるのも、あなた自身が心配になるのも当然なのだ。
とはいえ現状を知ると、ある程度安心できるのも本当のところだ。
そこで今回は自動車ディーラーで実際にお客様の車庫飛ばしを目の当たりにした筆者が、車庫飛ばしのすべてについて解説していこう。
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1.車庫飛ばしとはどのような行為なのか
まず車庫飛ばしの定義について述べる前に、自動車の「車庫」に関して説明していこう。
自動車は新車・中古車問わず、ナンバーを付けて登録するときに「車庫証明」が必要になる。なぜなら「自分は車庫を持っていて、路上などへの違法駐車・保管はしない」という証明をしなければ、そもそも自動車の登録をすることができないからだ。
そして証明する車庫は、車検証上の「使用の本拠の位置(ほとんどの場合で自宅の住所)から、直線距離で半径2㎞以内」と決まっている。
つまり2㎞圏内の駐車場や保管場所で、車庫証明を取得しておかなければならないのだ。
…ここまでの説明でおおかた検討が付いたかもしれないが、車庫飛ばしの定義についてお教えしよう。
そして車庫飛ばしをする目的は
- そもそも借りている車庫が2㎞以上離れているため、車庫に近い人に名義を借りている
- 別の地域のナンバーを付けたい
などがあるが、後述するように「知らず知らずのうちに車庫飛ばし状態になっている」というケースもあり、さらに別途説明する罰則が適用される可能性もあるため注意が必要だ。
とはいえ現状を考えると、筆者のお客様がやっているように「車庫飛ばしはできる」というのが正解である。
そこで次章では、車庫飛ばしをする方法について詳しく解説していこう。
2.車庫飛ばしは「できる」が正解
車庫飛ばしは意外と簡単にできる。
というのも、下記に箇条書きした通りの手順で完了するからだ。
- 誰かに名義を借りるor住民票を移動させる
- その場所で車庫証明を取得する
- 借りた名義&取得した車庫証明を元に自動車を登録する
ご覧の通り、たった3ステップで完了する。
そのため非常に簡単に車庫飛ばしは可能になるのだ。
また車庫証明の取得方法に関しては、下記のリンクに詳しく解説しているのでご覧いただきたい。
ステップ1で誰かの名義を借りる場合には、
- 所有者…あなた
- 使用者…名義を借りる人
にしておかなければ所有権の関係上、後でトラブルになってしまう可能性があるため注意が必要である。
そしてもう一点、ポイントがある。
それは「住民票の移動をする場合は、自動車の登録が完了するまででOK」ということだ。
というのも自動車の登録は、単純に「そのときの情報が反映される」という現状があるため、その場限りの現住所情報さえあれば問題ないのだ。
ただし自動車の登録後、車検証上で名義変更や住所地の変更をする際には、改めて車庫証明を取得する必要があるため、やはり注意が必要である。
以上が車庫飛ばしをする具体的な手順だったが、車庫飛ばしそのものは冒頭でも述べている通り「違法行為」である。
そこで次章では、バレた場合の具体的な罰則について紹介していこう。
3.車庫飛ばしをしたときは20万円の罰金に処せられる
車庫飛ばしをしたときには、下記に引用した罰則が適用される。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、又は警察署長に自動車の保管場所に関する虚偽の通知を行わせて、第四条第一項の規定による処分を受けた者
※引用元:電子政府の総合窓口e-Govの「自動車の保管場所の確保等に関する法律」より
二 第十一条第二項の規定に違反した者
引用した法律文にあるように、車庫飛ばしがバレた場合には20万円以下の罰金となる。
そのため車庫飛ばしがバレないか不安になるだろう。
その点に関してはあまり心配する必要はない。
というのも、車庫飛ばしは次に説明するように「ほとんどバレない」というのが実情だからだ。
車庫飛ばしはバレないケースが多い
車庫飛ばしは、実はほとんどのケースでバレない。
というのも
- 車庫地の管理…警察
- 自動車の登録情報の管理…陸運支局
というように、バラバラで管理されているため「紐づけて罰を与えることができない」ということができるからだ。
また何らかの理由で警察に車を止められ、車検証を見られたとしても車庫飛ばしについて追及されることはほとんどない。
なぜなら「その程度のことで取り締まるのは面倒くさい」と思われているからだ。
そのため裏側では、後述する排ガス規制などの対策として「そもそもディーラーがオススメしてくる」というケースすらある。
実際に筆者の同僚や上司も、排ガス規制対策でお客様に車庫飛ばしを案内していたため、「それだけバレるリスクは低い」と思っても良いのだ。
とはいえ罰則が設けられていることに変わりなく、稀に有名人などが「見せしめ」として取り締まられているケースもある。
そのためあくまで「自己責任で」と考えておいてほしい。
ただ、自分の責任でとはいうものの、実は「気づかないうちに車庫飛ばし状態になっている」というケースもあるのが現状だ。
そこで次章では、車庫飛ばしの危険性がある3つのケースについて、紹介していこう。
4.車庫飛ばしの危険性がある3つのケース
これまで紹介してきたのは、あくまで「自分が意図的に車庫飛ばしをする」というケースだった。
しかし実際に「知らず知らずのうちに車庫飛ばし状態になっている」ということもある。
そこで下記に、代表的な車庫飛ばしの実例を箇条書きしておいたのでご覧いただきたい。
- 引っ越し
- 親族間での譲渡
- 排ガス規制地域
それぞれ以下に分けて説明していこう。
ケース1.引っ越し

転勤などによって今の場所から別の場所へ引っ越しをするとき、実は車庫飛ばし状態になってしまうケースがある。
というのも引っ越しによって「住民票を移動させる」という場合には、使用の本拠の位置とずれが生じてしまうため、結果的に車庫飛ばし状態になってしまうのだ。
そのため転勤で県外などへ引っ越しをし、住民票も移動させた場合で「ナンバーの地域名が地元のまま」などという場合には、注意する必要がある。
ケース2.親族間での譲渡

筆者の兄が経験したことだが、県外の大学へ入学が決まった時に、母から譲渡された車が「車庫飛ばし状態」になっていたケースがある。
というのも前述した引っ越しと同じように、
- 実家の住所のまま、母→兄へと名義変更
- 名義変更後、大学のある県へ住民票を移動
となってしまったからだ。
特に同居している親族から譲渡を受ける場合には、しっかり注意していなければ車庫飛ばしになってしまうことを覚えておいてほしい。
ケース3.排ガス規制地域

先程少しだけ触れたが、「排ガス規制対策」で車庫飛ばしをするケースがある。
そして特定地域とは一般的に「街中」を指しているため、古いディーゼルエンジンの自動車、特にトラックやバスは「田舎に車庫飛ばしをする」ということがある。
ただしこれらの車庫飛ばしは意図的に行われる場合もあるが、実は筆者の同僚がそうであるように「ディーラーの営業マンから進められて、違法だと知らずにやってしまった」というケースもあるのだ。
そのため営業マンから
- 「排ガス規制に引っかかるため、車庫地を変更すべき」と言われる
- 「車庫地の変更に伴い、知人に名義借り(もしくは住所地の一時的な変更が必要)」と言われる
- 「車庫飛ばしをしよう」と言われる
などの場合には、車庫飛ばしの危険性が非常に高いことを覚えておいてほしい。
以上、知らず知らずのうちに車庫飛ばし状態になっている、主な3つのケースについて紹介してきた。
そこで簡単な判断基準をお教えしよう。
それは「住民票の位置が車検証に記載された使用の本拠から半径2㎞よりも離れていればアウト」ということで、該当する場合にはほとんどのケースでアウトと判断できる。
そのため一度車検証を確認し、現住所と使用の本拠を見比べることがオススメだ。
その上でアウトの場合には、直ちに新しい車庫証明を取得する必要がある。
それだけで20万円の罰金は、確実に免れると思っても良いだろう。
6.まとめ
以上、車庫飛ばしについて解説してきたが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 車庫飛ばしは「現住所とは別の場所で、車庫証明を取得している状態」のことを指す
- 車庫飛ばしをする目的は様々だが、「知らず知らずのうちにしているケース」もある
- 車庫飛ばしをすると20万円以下の罰金に処せられるため、「現状ではバレにくい」ものの注意する必要がある
- 車庫飛ばしをしている場合には、直ちに新たな車庫証明を取得すべき