
2017年6月、世間に衝撃のニュースが走った。
そう、神奈川県の東名高速道路で「あおり運転」が原因となり、4人家族の内夫婦2人が亡くなるという悲劇が起きたのだ。
あなた自身も記憶に新しいだろう。
そのことから全国の警察ではあおり運転防止のために、車間距離をはじめとした「安全運転」に対する取り締まりが強化されている。
そして結果的に、県警では「高速道路をヘリで監視する」といった対応をするなど、誰もが車間距離をしっかりと空けなければ「取り締まりの対象となる」という状況になってしまった。
とはいえ実際のところ、車間距離はどの程度空けておけばいいのか、詳しく知らないのが現状だろう。
そこで今回は自動車ディーラーの法人担当営業として、お客様に安全運転の講習などを実施している筆者が、
- 車間距離はどの程度空けなければならないのか
- 車間距離をきちんと空けなかった場合、どのような罰則を受けるのか
という点について、詳しく解説していこう。
取り締まられた後で「知らなかった」と言っても見逃されるわけではないため、必ず当ページをしっかりとご覧になってほしい。
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1.車間距離は「車間距離保持義務」によって決まっている
車間距離はどの程度空けなければならないのか、実はそもそも法律で決まっている。
しかも意外と知られていないのが、車間距離を空けて運転しないと罰則があるのだ。
罰則や罰金については後ほど詳しく説明する。
早速、下記に引用しておいたのでご覧いただきたい。
(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
※引用元:電子政府の総合窓口e-Govの「道路交通法」より
つまり簡単に言い換えると、「前の車が急停止しても停車できる車間距離を保たなければならない」ということになるのだ。
とはいえ前の車が急停止して止まれる距離がどの程度なのか、分からないのが現状だろう。
そこで下記にスピード別の「急ブレーキにかかる距離」について、おおよその目安を箇条書きしておいたのでご覧いただきたい。
- 50km/h…50ⅿ程度
- 70km/h…70ⅿ程度
- 100km/h…100ⅿ程度
ご覧いただくと分かる通り、「速度の数字メートル程度」が急ブレーキで停車できる距離ということになるのだ。
ちなみに上記の数値は、「空走距離」といって、「あなたが反応してブレーキを踏むまでに進む距離」も加味された数値である。
そのため前の車が停車している場合に、あなたが反応して停車できる距離が上記だと思ってほしい。
ただ、上記はあくまで「前の車が停車している」という状況で停車できる距離だ。
つまり現実的に考えると、実際に前の車が動いている場合は「もう少し車間距離が近くても停車することは可能」ということになる。
とはいえ実際のところ、免許証の更新時などには警察から「車間距離は速度の数値メートル程度は空けるように」と指示される。
そのため上記に挙げた車間距離を確実に空けておくと、間違いなく警察に捕まらないということができるのだ。
以上が保持すべき車間距離の紹介だったが、心配なのは「もし警察から車間距離で取り締まられると、どうなってしまうのか」ということだろう。
次章では車間距離保持義務に違反した場合の罰則について、詳しく紹介していこう。
2.車間距離保持義務違反になると1~2点減点、1万以下の罰金
前章で紹介した車間距離はあくまで「警察が取り締まる目安」である。
実際の「罰」としては、
- まず警察の取り締まりによる「反則金」と「減点」を受ける
- 反則金支払いが無いor悪質だと判断されて即時裁判になると法律上の罰則
という順になっているからだ。
①警察の取り締まりによる「反則金」と「減点」を受ける
まずは反則金の支払いおよび減点からということになるのだ。
そして気になる反則金および減点は、下記の通りになっている。
- 高速道路での車間距離保持義務違反…2点の減点および9,000円の反則金(中・大型車は12,000円、2輪車は7,000円)
- 通常の車間距離保持義務違反…1点の減点および6,000円の反則金(中・大型車は7,000円、2輪車は6,000円、原動機付自転車は5,000円)
そのため金額だけを見ると「多くても1万円と少しぐらいなら大丈夫」「減点は1~2点程度だからいいや」と思ってしまうかもしれない。
ただし減点によって免許証の色が変わることによって、自動車保険の年間保険料は10%以上高くなる可能性があるため、実は厳密に言うと「数万円以上の損」ということができる。
また仮に反則金を納めない、悪質だと判断されて即時裁判になるという場合には、懲役刑が待ち受けている可能性がある。
というのも冒頭でも述べた事故以降、全国的に危険運転は厳しく罰するような雰囲気になっているからだ。
そのため単純に反則金や減点、罰金などを受けるだけではなく、刑務所に収監される可能性があることは覚えておいてほしい。
また車間距離保持義務違反だけではなく、重度の危険運転だとみなされる場合には、最悪のケースで「殺人未遂」などに問われる可能性がある。
その場合にはこれ以降の人生をすべて棒に振ることになりかねないので、十分に注意して車間距離は保たなければならないといえるだろう。
ちなみに、車間距離を保持せずに前の車に追突してしまった場合には、保険の業務的には「100:0」であなたが悪くなってしまうことは覚えておいてほしい。
②反則金支払いが無いor悪質だと判断されて即時裁判になると法律上の罰則
反則金の支払いがないか悪質だと判断されると法律上の罰則を受ける。
そして実際に警察に取り締まられる場合、罰則は下記のようになっている。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
~中略~
一の四 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為(高速自動車国道等におけるものに限る。)をした者
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
~中略~
二 第二十五条(道路外に出る場合の方法)第三項、第二十六条(車間距離の保持)、第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項、第二十七条(他の車両に追いつかれた車両の義務)、第三十一条の二(乗合自動車の発進の保護)、第三十二条(割込み等の禁止)、第三十四条(左折又は右折)第六項(第三十五条(指定通行区分)第二項において準用する場合を含む。)、第三十六条(交差点における他の車両等との関係等)第一項、第三十七条(交差点における他の車両等との関係等)、第四十条(緊急自動車の優先)、第四十一条の二(消防用車両の優先等)第一項若しくは第二項又は第七十五条の六(本線車道に入る場合等における他の自動車との関係)の規定の違反となるような行為をした者(第二十六条の規定の違反となるような行為をした者にあつては、第百十九条第一項第一号の四に該当する者を除く。)
※引用元:電子政府の総合窓口e-Gov「道路交通法」より
ご覧いただくと分かるように
- 高速道路などでの違反…3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
- 一般道などでの違反…5万円以下の罰金
ということになっている。
ただし上記した罰則はあくまで法律上のものであり、「実際に裁判となった場合」に適用される罰則だ。
以上、ここまでの説明で車間距離をどの程度空けなければならないのか理解できただろう。
とはいえ実際のところ、あなたが気を付けているだけでは意味がないケースもあるのが現状だ。
そう、後ろの自動車が車間距離を詰めてきて、危険を感じてしまう場合もあるのだ。
そこで次章では、車間距離を詰められて身の危険を感じた場合の対処方法について紹介していこう。
3.逆に車間距離を詰められて危険を感じた場合の対処法
車間距離を詰められた、つまり「あおり運転」によって身の危険を感じた場合には、下記2つのシーン別に対応することをオススメする。
- 高速道路を含めて複数車線の場合
- 片側1車線だけの場合
それぞれ、以下に分けて説明していこう。
シーン1.高速道路を含めて複数車線の場合
複数車線を走行しているときに、車間距離を詰められてあおり運転をされた場合には、下記の手順で対処するといい。
- まずは最左の走行車線に移る
- 走行車線へ移ってもあおられる場合には、前方の車と十分な車間距離を取って走行し続ける
- それでも車間距離を詰められる場合には、110番をする
それぞれさらに以下に分けて簡単に説明していこう。
1.まずは最左の走行車線に移る
追い越し車線を走行し、あなたの自動車を抜きたいだけのケースもあるため、まずは左車線に移り「譲っている」ということをアピールする。
そうすると、ほとんどの車がそのまま追い抜いて行ってくれる。
2.走行車線へ移ってもあおられる場合には、前方の車と十分な車間距離を取って走行し続ける
前方の車と十分な車間距離を取ることを意識する。
というのもあなた自身があおり運転に気を取られ、前の車に追突してしまうと「あなたが100%悪い」という結果になってしまうからだ。
そのため後ろのあおり運転をしてくる車は無視し、あなたとあなたの前方にある車の安全を確保することを最重要視してほしい。
3.それでも車間距離を詰められる場合には、110番をする
それでも車間距離を詰めてくる場合には、100番通報をする。
というのもここまで対処をしておきながらも、尚あおり運転をしてくる輩は「他に何かしても無駄」というほかないからだ。
そのため必ず警察に連絡をして
- 走行中の場所
- 高速走行中は、向かっている方面
- 相手車両のナンバーや車種・色が分かれば教える
- これまでの対処(ステップ1~2)を伝える
ということをすると、すぐに近くで待機もしくは走行している覆面パトカーや、高速機動隊のパトカーなどが対応してくれる。
また本当は法律上NGなのだが、この場合にはあなたの命がかかっているため、携帯電話を手に持っても仕方のない状況といえるだろう。
そして携帯電話を手に持っていた方が、直近の後ろから見て「何か(おそらく警察)に電話している」と考えるため、けん制することも可能だと思ってほしい。
シーン2.片側1車線だけの場合
片側1車線を走行しているときに車間距離を詰められた場合は、基本的に複数車線を走行しているときのステップ3と同じく、
- 前の車との車間距離をしっかりと空けて安全確保をする
- 警察に110番通報をする
というだけでいい。
こちらも同じく携帯電話を手に持って連絡すると、けん制する効果があるためオススメだ。
ちなみに片側1車線の道路では、一般道の場合に「どこかコンビニなどの駐車場に入る」という選択肢もある。
その場合には警察に通報してから、「○○のコンビニに入るので急いできてほしい」ということを伝えるべきだ。
というのも筆者の友人であったケースだが、コンビニの駐車場に入ったところで、自分の車を囲まれて「車をガンガンたたかれて怖かった」ということがあったからだ。
そのため警察に先に伝え、警察が到着する猶予を持ってからコンビニなどに入ることがオススメである。
4.まとめ
以上、車間距離に関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 車間距離は「道路交通法」で、前の車が急に停車しても止まれる程度と決められている
- 車間距離は「速度の数値メートル程度」空けておくと安心かつ確実に停車できる
- 車間距離保持義務違反をすると、5万円の罰金や、3ヶ月以下の懲役が科せられる
- 逆に車間距離を詰められ、あおられてしまった場合には「前の車との安全確保」や「警察への通報」が最重要