車に乗っていると「仕方ない被害」と思わざることがある。例えば事故。
事故は自分が注意していれば防ぐことができるというわけではなく、他人に巻き込まれることもある。また雹(ヒョウ)など、自分では避けられないにもかかわらず車に「へこみ」や「キズ」などを作られてしまうのだ。
その点についてはあなた自身、百も承知だろうが、いざ自分の車にへこみやキズができてしまうと、正直気分は非常に落ち込むだろう。
特に車の買い替えや単純な手放しを検討している場合には、「この車のへこみによってどの程度査定額が下がってしまうのか…」とヒヤヒヤしているのではないだろうか。
そのため今現在、車買取とへこみについて深く知りたいと思っているだろう。
たしかにせっかく車買取の依頼をするにもかかわらず、車についたへこみなどのせいで査定額が下がってしまっては、あまりにもふがいない。
そこで今回は自動車ディーラーで中古車査定士として、実際に何台もの車査定をしてきた筆者が、あなたの車についてしまったへこみが車査定に与える影響や、へこみのある車を最高額で売却する方法について詳しく解説していこう。
内容は非常に簡単で分かりやすく、さらに誰もがしっかりと理解できるようにまとめているので安心して最後までスラスラ読み進めてほしい。
読み終わる頃には
- 自分の車にあるへこみがどの程度査定に影響を与えているのか
- へこみのある車でも簡単に最高額を引き出すことはできそうだ
をいう点をきちんと理解して、満足のいく車買取に向けて自信が持てることは間違いないだろう。
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1.「へこみ」はどれぐらい査定額に影響する?
車にへこみがついてしまうことはよくあることだ。
とはいえ付けてしまった場合、また気付かない間にへこみができている場合には、正直なところ「ショック」という言葉があてはまるだろう。
特に車買取を検討しているタイミングでは車のへこみによってどの程度査定額に影響してしまうのか、非常に気になるところだ。
そこで本章では車についたへこみがどの程度車買取の際に影響を及ぼしているのか、車査定のプロとして簡単に述べていこう。
まずへこみのある部分に関して説明していく。
車の外装には主に、下記2点の素材が使用されている。
- FRP素材(プラスチックのような樹脂系素材)
- 金属素材
この素材の内、FRP素材については「板金の必要がなく、簡単に修理できる」という特性があるため、一般的には減点という減点をしない。
もちろん「へこみからくる割れ」があるなど、状態によっては減点の対象となる場合もあるがFRP素材についてはそれほど心配しなくても大丈夫だ。
しかし主に鉄板を使用している金属素材(ドアやボンネット部など)は、金属の特性上「へこみを100%直すことは不可能」といえる。
そのため減点の対象になるのは当然なのだ。
とはいえ板金作業の工賃が安くなる「小さなへこみ」に関しては、正直なところ「無視して査定してしまう」という現状がある。
つまり基本的に主に鉄板が使われる金属素材の場合には、小さなへこみは無視して査定してしまい、大きなへこみに関しては「板金修理にかかる実費分(もしくは+手間賃)のみ」を減点されるということになる。
それほど心配せずとも、あまりにも大きなへこみではない場合には減点はされないといえる。
またへこみだけではなくキズについても「小さなものに関しては、ある程度無視してしまう」という傾向にあるため、心配しなくても大丈夫だ。
さらに素材に関して「何をもとに見分ければ良いのか」と気になったかもしれない。
そこで簡単な見分け方をお教えしておこう。
- FRP素材は「そもそもバンパーやエアロパーツ等に使われている」という特徴があり、さらにドアをノックするように音を確認すると「ポコ、ポコ」というような音がする
- 金属素材の場合には主にドアやボンネットなどの主要部分に使われており、同様に音を確認すると「ゴン、ゴン」というような音がする
そのためへこみのある部分をノックしてみると、素材に関しては大まかに分かると覚えておこう。
そして実際に車査定を実施する車買取店に関して「小さなへこみは基本的に無視してしまう」と前述したが、稀に逐一チェックして「ここにはへこみがあるから減点だ」と言ってくる業者もいる。
しかしそのような業者は同業界に身を置いている筆者からすると「きちんとしているようで、少しでも安く買いたたこうとしている怪しい業者」といえる。
というのも先程述べたように非常に安く直すことができるへこみについては、正直無視していいほどの「損」しかしないからだ。
そのため万が一減点について細かく言ってくる業者に当たってしまった場合には、サクッと見切りをつけることをオススメする。
とはいえ「へこみが小さければ減点なし」とはいうものの、どの程度の大きさが基準になるのか気になるだろう。
そこで次章では、より具体的に査定に影響するへこみやキズについて、基準を述べていこう。
2.査定額に影響する基準の「へこみ」や「キズ」はどの程度なのか
早速、査定額に影響するへこみやキズの基準について解説していくが、その前に「JAAI」という団体について覚えておいてもらいたい。
この団体は正式名称を一般財団法人日本自動車査定協会(以下、JAAI)という。
そしてJAAIが示す車査定の基準が、ほとんどの車買取店の中で「自社の査定基準の参考」となっている。
またJAAIでは中古車査定士の試験を実施しており、合格した者のみ筆者と同様に中古車査定士資格の認定を受けることができる。
そのためJAAIは「日本全国の車査定の基礎となる部分を示している協会である」ということなのだ。
そんなJAAIでは車査定の際、へこみやキズによる減点について下記のような指針を示している。
- 直径が1cm未満のへこみ、キズは減点なし
つまり「小さなへこみやキズは無視する」という根拠としては、JAAIが示している1cmが基準となっているのだ。
ちなみに、下記画像がJAAIの査定士の資格を取ると配布される査定に関する本だ。
そのため1cmを超えるへこみやキズについては減点の対象だということになる。
そしてここからはへこみとキズ、それぞれの減点方法について分けて以下に述べていくのでご覧いただきたい。
へこみの減点方法
へこみの減点は1cm以上である場合大きく4つの区分(大きさ)と、「減点の種類・減点数」に種類分けされている。
その4区分は下記の通りだ。
- 1cm以上カードサイズ(名刺程度の大きさ)未満…へこみの場所に関係なく10点減点
- カードサイズ以上A4サイズ未満…各パネル部に該当する「小」サイズの減点
- A4サイズ以上各パネル面積の1/2未満…各パネル部に該当する「大」サイズの減点
- 各パネルの1/2以上…各パネル部に該当する「交換」分の減点
となる。
この箇条書きを見るだけでは分かりづらいと思うので、下記の表をご覧いただきたい。
パネル部の名称(へこみのある部分) | へこみの大きさと減点数 | ||
---|---|---|---|
小 | 大 | 交換 | |
ボンネット | 30 | 50 | 70 |
フロントフェンダ | 30 | 50 | 65 |
フロントドア(4ドア) | 30 | 50 | 80 |
フロントドア(2ドア) | 30 | 50 | 85 |
リヤドア | 30 | 50 | 75 |
リヤフェンダ(4ドア) | 30 | 50 | 130 |
リヤフェンダ(2ドア) | 30 | 50 | 150 |
トランクフード | 30 | 50 | 65 |
バックドア | 30 | 50 | 95 |
ルーフ | 50 | 80 | 145 |
ピラー | 15 | 20 | - |
ボディサイドシル | 15 | 20 | 80 |
リヤエンドパネル | 15 | 20 | 65 |
この表にあてはめた具体例を下記にいくつか紹介しておく。
具体例1.カードサイズ以上A4サイズ未満のへこみがボンネットにあった
へこみの大きさは「小」であるため、ボンネット部の「30」が減点数となる。
つまり約30,000円分の減点となる。
具体例2.ルーフの半分以上がへこんでいる
へこみの大きさは「交換」であり、ルーフ部の「145」が減点数となる。
つまり約145,000円分の減点となる。
このように、上記の表にあてはめると分かりやすく、自分の車がどの部分に当てはまっているのか一目瞭然だろう。
とはいえ実際のところ、一般的な車買取店では1cm以上カードサイズ未満で10点の減点はしていない。
というのも修理するのに2,000~5,000円程度で済んでしまうため、それほど重要視していないからだ。
つまり車査定の現場としては、正直なところ「JAAIの基準はあくまで参考値」としており、独自の判断基準を持っている場合が多い。
そのため次にご紹介する、キズに関する減点についても基準通りの減点にはならないのだ。
キズの減点方法
キズに関しては「1cm未満であれば減点なし」というのは同じく、さらに非常にシンプルな考え方をする。
それは下記の通りだ。
- キズが1cm以上カードサイズ未満…10点の減点
- キズがカードサイズ以上A4サイズ未満…20点の減点
- キズがA4サイズ以上各パネルの1/2未満…30点の減点
- キズが各パネルの1/2以上…先程の表にある「交換」分の減点
そのためキズのサイズを測り、修理金額分の減点がされると考えると分かりやすいだろう。
ただし、実務的な面を解説すると「うっすらとついた傷」に関しては、コンパウンドなどでこするだけで無くすことも可能であるため、キズの大きさに関わらず無限点である場合がある。
また逆に小さなキズであっても「深いため再塗装&コーティングが必要」と判断されると、何万円分もの減点をされてしまうのだ。
そのためキズに関しては、車査定前に板金工場や修理工場などへ持っていき、
- 少し磨くだけで消えると判断された…減点はほとんど0である
- 磨きだけでは厳しいかもしれないと判断された…筆者が紹介した減点数が適用される
- キズが深すぎて手間がかかると判断された…「交換」分の減点が適用される可能性がある
と考えるとベストだろう。
その後車買取店に車査定の依頼をすれば、きちんと自分の車が査定されているのか知ることもできる。
とはいえあなたの気持としては、正直なところ「減点については分かったけど、直してから車買取の依頼をすべきなの?」と思わなかっただろうか。
たしかに直してから車買取をしてもらった方が、査定額は高くなりそうだ。
そこで次章では、へこみやキズの修理後に車買取をすべきなのか、車査定のプロの意見を解説していこう。
3.へこみやキズは直してから車買取の依頼をすべき?
前章までの解説を読み進めると、いくら車買取店ごとに査定基準が異なるとはいえ、その基礎となるJAAIが定めた減点数が分かった以上、無視することはできないだろう。
そのため「へこみやキズは直してから車買取を依頼すべきではないだろうか…」と心配になってはいないだろうか。
そこで本章ではへこみやキズの修理について、プロの意見を述べていこう。
ヘコミやキズは直すべきではない
正直なところ、車買取前に修理をすることはオススメしない。
なぜなら車買取店自体も「修理金額の実費程度を減額して、査定額を決定している」という背景があるからだ。
そのためあなた自身が事前に修理をした場合でも、基本的には「修理にかかった金額が戻ってくるか来ないか」という程度にしかならないのである。
また、車買取店では基本的に自社で修理をする場合もあるため、実は修理工場に依頼するよりも安く仕上げてしまうこともある。
そのため基本的には「修理してから依頼する方が損する可能性が高くなる」といえるのだ。
また仮に修理をした場合に、「プロが見て修理痕が残った状態」である場合には、さらに大幅な減点をされる可能性があるため、やはり損をしてしまうリスクが高くなる。
もっというと、車買取店は「需要高い車であればへこみやキズは関係なく、高額査定の対象となる」という実情があるため、やはり「そもそも直す必要はない」といえるのだ。
以上のことから、車買取をしてもらう前にへこみやキズの修理をする必要はないと覚えておく必要がある。
そしてどちらかと言うと、「今ある車に手を加えず、いかに高く車買取してもらうか」を考えるべきだろう。
その方法としては、次に紹介する「複数社による競合」がオススメだ。
車買取業者に競わせて最高額で車買取してもらう方がオススメ
車買取店は「買い取った車を中古車として再販すること」を主な業務としている。
そして昨今の中古車人気の影響で爆発的に利益を上げているのが現状だ。
しかし裏を返すと「中古車人気の影響で在庫車が不足しており、結果的に売る車がないことから利益が出せない」という状況に陥っている。
そのため全国各地の車買取店は、一般的に「少し高くなっても構わないから、確実に車買取を実施したい」と思っている。
つまり複数の車買取店を競合させることで徐々に査定額が上がっていき、最終的には相場の上限値付近の価格で車買取をしてもらうことができるのだ。
以上の市場原理があることから、へこみやキズの有無にかかわらず「競合させることで確実に高く車買取をしてもらうことができる」と理解しておき、やはり修理の必要はないと考えることをオススメする。
とはいえ複数の車買取店をまわって、各社を競合させていくのは非常に時間と労力がかかる。
そのため「面倒くさい」という感想を持ったことだろう。
そこで筆者としては「車一括査定」というサービスの利用をオススメする。
実はこのサービスを利用することで、簡単に複数の車買取店を競合させることができるのだ。
複数業者を競合させるなら「車一括査定」の利用がベスト
そして名前からもおおよその内容は推測できるだろうが、サービスと提携している何百~何千社もの車買取店の中から、あなたの地域に対応している複数の車買取店に車査定を一括して依頼できるのだ。
またサービスと提携しているほとんどの車買取店は、無料の出張査定サービスに対応しているため、あなたは自宅にいながら一気に複数社を競合させられる。
そのため「一度の申し込みをするだけで、最高額が得られる方法」ということができるのだ。
申し込み方法に関しても非常に簡単で、
- あなたが乗っている車に関する情報(車種や年式、総走行距離など)
- あなた自身に関する情報(出張査定先の住所や氏名など)
を入力するだけであるため、1~3分程度の時間があれば申し込みを完了させられる。
以上のことから車一括査定を利用することで、へこみのあるあなたの車は「最短時間で最高額を得ることができる」ということになるのだ。
申し込みは非常に簡単で、誰でもササっとできる。
そのためぜひ一度利用して、満足のいく価格提示を受けてほしい。
とはいえひとつだけ問題もある。
それは「車一括査定のサイトはいくつもあるため、どこがオススメなのか分からない」ということだ。
そこで最後に、当サイトで紹介している車一括査定サイトの中から、オススメなものを紹介しておこう。
車一括査定を徹底比較
車一括査定をオススメしたのはいいが、じつは買取店ほどではないにしても、いくつかのサイトが存在する。
主要な車一括査定6つをまず見てほしい。
下記にそれぞれの車一括査定を比較した一覧表を載せておく。
それぞれの比較一覧表をご覧になると、例えば
- カーセンサーの提携業者数は圧倒的に多い
- 楽天オートは楽天ポイントがもらえる
- ユーカーパックは買取業者からの電話がない、申込み直後に買取相場を知ることができる
- ズバット車買取は申し込み直後に買取相場を知ることができる
- カービューは車一括査定を最初に始めた運営サイトで歴史が長い
- ナビクル車査定は買取業者を厳選している
という特徴に気付くことができるだろう。
実際にこれらの特徴はすべて各車一括査定の「強み」といえる部分だ。
といえば、これらの特徴をご覧になるだけでは、本当にオススメの車一括査定がどれなのか分からないはずだ。
そこで筆者が車査定のプロとして最もオススメできる車一括査定TOP3を紹介する。
車一括査定のオススメは「カーセンサー」
最もオススメの車一括査定はタイトルの通り「 カーセンサー 」と結論付けている。
なぜなら「1,000件を超える圧倒的な業者と提携しているため、最も自分に合った買取業者を探しやすく最もお得になる可能性が高い」といえるからだ。
依頼でポイントがもらえる「楽天オート」
楽天オート の車一括査定は、「ポイントがもらえる」という特徴が大きい。
そして得られるポイントは
- 申し込みをして5ポイント
- 申し込み後に制約をしたら1,500ポイント
であり、ハードルがとても低い。
提携している買取業者数はカーセンサーと比較して見劣りする。
買取業者からの電話なし「ユーカーパック」
ユーカーパック は他の車一括査定とは少し色が異なる。
ユーカーパックの特徴は、車一括査定のように買取店からの電話ではなく、ユーカーパックからのみしか掛かってこない。
この車買取店から一斉に電話がかかってこない点が評価することができる。
さらには、5,000社以上もの車買取業者と提携してのも評価ポイントだ。
ただし、前述したカーセンサーと比較すると、提携している業者の多くが「大手買取業者ではない」という欠点がある。
以上、筆者がオススメする車一括査定に関しての解説を終了する。
ご覧になると「いくつもある車一括査定にはそれぞれ特徴があり、ポイントを抑えておくことで確実に金銭的にも、精神的にもお得になることができる」ということが分かったかと思う。
そして再度結論を述べますが、筆者としては最もオススメな車一括査定は「 カーセンサー 」であり、確実に最もお得な車買取業者を探すことで「数十万円以上も高く車買取してもらえる」ということができる。
申し込みにかかる時間も2分程度と、本当に短時間で簡単に申し込みを完了させることができる。
そのため、ぜひ一度試してみてほしい。
「こんなにお得になるのか!」とビックリするかもしれない。
4.まとめ
以上、車買取の際の「へこみ」や「キズ」に関する解説を終了するが、ご覧いただくと
- それほど心配する必要はなさそうだ
- へこみを無視しても自分の車は高く車買取してもらえそうだ
と感じたことだろう。
その感覚は正しくて、実務上はそれほど気にするようなものではない。
特に「高く車買取をしてもらいたい」と思っているあなたにとって、車買取店同士を競合させることで間違いなく高く車買取をしてもらうことは可能である。
また最後に紹介した車一括査定に関しては、正直なところ「今のところ最も簡単かつ確実に最高額を引き出すことができる方法」ということができる。
そのためぜひ一度試しに利用して、ビックリするような価格提示を経験してほしい。
そうすることで間違いなくあなたが乗っているへこみのある車は、満足できる車買取をしてもらうことができるだろう。