というのも中古車であったとしても車は「資産」として考えられるため、必ず所有権そのもの、つまり名義を移転させる必要があるからだ。
そのため3つの工程と3~4,000円の実費を支払って名義変更を完了させたうえで、中古車の購入は完了する。
とはいえ実際のところ、
- どのような流れで名義変更はしていけばいいのか
- どこで、どんな書類を入手して名義変更をするのか
- ディーラーや販売店に依頼した時はどの程度の金額が必要になるのか
など、知らないことが多すぎるだろう。
そこで今回は自動車ディーラーの営業マンをしている筆者が、中古車の名義変更に必要な書類や手続きについて、詳しく解説していこう。
意外と簡単な手続きで中古車の名義変更は完了するが、所有権を書き換える重大な作業となるため、一つでも書類や手続きに不備があると完了しないため、十分注意してご覧いただきたい。
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1.中古車の名義変更3つのステップ
中古車の名義変更をするとき、実は大まかに下記3つの手順を踏めば完了する。
- 必要書類をそろえる
- 陸運支局へ行き窓口に必要書類を提出
- 新車検証の発行
それぞれ非常にシンプルな手続きではあるものの、実際にすべてが不備なく完了しなければ、名義変更ができず結果的に「中古車の購入や譲渡の手続きが完了しない」ということになる。
そのため、以下にそれぞれの手続きを詳しく解説していくので、きちんとご覧になってほしい。
ステップ1.必要書類をそろえる
名義変更をするときに必要となる書類は、下記の一覧表に挙げた通りだ。
書類の種類 | 「旧」所有者が用意 | 「新」所有者が用意 | 「使用者」が用意 |
---|---|---|---|
譲渡証明書 | 〇 | × | × |
委任状 | 〇 | 〇 | × |
印鑑証明 | 〇 | 〇 | × |
住民票 | × | × | 〇 |
車庫証明 | × | 〇 | 〇 |
それぞれ専門的な書類だと思われるかもしれないが、実は入手するのは意外と簡単である。
そこで以下に分けてそれぞれの入手方法や入手にかかる金額を説明していくので、ご覧いただきたい。
書類1.譲渡証明書
譲渡証明書は名義変更において最も重要な書類で、所有権を直接移転させる効力を持った書類である。そのため旧所有者に実印を押印してもらい「本当に所有権を移転させても構わない」ということを、証明してもらう必要があるのだ。
書類の入手方法はシンプルで「ディーラーや販売店から入手する」というだけである。※もし販売店などからの購入ではない場合は、国土交通省からダウンロードすることができる。
ただし実印を押印してもらう必要があるため、基本的に中古車購入であなたが準備する場合には、ディーラーに「実印押印済みで譲渡証明書を発行してほしい」といえば問題ない。
また中古車の購入ではなく、ローン返済終了後にローン会社に対して所有権を解除してほしい場合には、同様に「実印押印済みで譲渡証明書を発行してほしい」といえば、問題なく発行されるため心配する必要はない。
ちなみに譲渡証明書は無料で配布されている書類であり、通常は旧所有者に発行してもらう場合でも「無料」にて対応されることがほとんどである。
譲渡証明書の記入例
記入例としては下記画像を参考にしてほしい。
※画像出典:国土交通省「譲渡証明書の記入例」より書類2.委任状
委任状はあなたが旧所有者に変わり、名義変更の手続きをするために必要な書類だ。そして旧所有者に内緒で名義変更ができないよう、委任状には「旧所有者からの証明」の意味を込めて、実印の押印が必要になる。
入手方法はやはりディーラーや販売店、ローン会社などの旧所有者に対して「実印押印済みで譲渡証明書を発行してほしい」といえば、簡単に発行してもらえる。
※もし販売店などからの購入ではない場合は、国土交通省からダウンロードすることができる。
また、こちらの書類も無料で配布されている書類であるため、基本的に「無料」にて対応されると思っても問題ない。
委任状の記入例
①~③までの項目を間違えることなく記入することが必要であるため、以下に分けてそれぞれの内容を説明していこう。
①~③までは中古車の販売店が記入する項目で④はあなたが記入する項目である。①受任者の氏名・住所
受任者とは、車を購入するあなたのことである。
②申請の種類
中古車を購入をするときは、手続きの種別として「移転登録」と記載しておく。
他にも「変更登録」「抹消登録」があるが、これらは構造変更や一時抹消をするときに使用する文言なので、今回は関係ない。
③車台番号または登録番号
一般的には登録番号ではなく、製造時に個体ごとに割り振られている車台番号を記載する。
なぜなら登録番号は今後変化する可能性があるが、車台番号はその車が廃車による処分をされるまでは永遠に生き続ける固有の番号だからだ。
そのため車検証に記載されている車台番号を確認して、記入しておく必要がある。
また車台番号については、ディーラーや車買取店が記載しておいてくれる場合もある。
④委任者の氏名・住所
委任者は手続きを代行する人であるあなたになる。
⑤実印
最後に委任者本人の「実印」の押印が必要になる。
なぜなら「委任者本人が手続きの代行を依頼した」という証明になるからだ。
そのため必ず実印の押印をしなければならない。
また押印したものが実印であることを証明するために「印鑑登録証明書」の添付も必要になる。
印鑑証明を添付し忘れると、手続きができないため注意すべきである。
書類3.印鑑証明
まず、印鑑証明は新・旧所有者それぞれのものがいると覚えておいてほしい。
※画像出典:米子市HP「印鑑証明書の見本」よりというのも
- 新所有者の印鑑証明…新しい権利者を登録する際の証明になる
- 旧所有者の印鑑証明…譲渡証明書と委任状に押印された実印の証明となり、「譲渡して名義変更しても構わない」ということになる
といえるからだ。
そのためまずは旧所有者に対して印鑑証明を発行してもらう必要がある。
ただし、実は譲渡証明書や委任状の発行依頼をしたときに、セットでくれることが圧倒的に多い書類であるため、「一応確認として依頼しておく」程度で構わない。
また新所有者の印鑑証明に関しては
- 新所有者が自分の場合…自分の住所地の市区町村役場または出張窓口にて発行可能
- 新所有者がローン会社などの場合…「登録前に印鑑証明が欲しい」といえば送付してくれる
という現状があるため、特に心配する必要はない。
そして発行にかかる実費としては200円程度であることが多いが、ローン会社などに依頼する場合は無料にて対応されることが多い。
書類4.住民票
住民票は「あなたが新所有者とならない」という場合に必要な書類である。というのも例えばローン会社などが所有者となり、あなたは単純に「使用者」となる場合には、車検証に使用者を記載するための「公的書類」が必要になるからだ。
そのためあなた自身が所有者ではないケースに限り、使用者の証明をするために獣人氷河必要になると覚えておこう。
ちなみに住民票も印鑑証明と同じく、住所のある市区町村役場または出張窓口にて200円程度で発行可能である。
書類5.車庫証明
車庫証明は車の登録をする上で「自分は車の保管場所を確保しているため、路駐などの迷惑行為はしない」という証明書類であり、ごく一部の地域を除いてほとんどすべての人が必要となる書類である。最も簡単な入手方法は、中古車を購入する予定のディーラーや販売店から無料で入手する方法だが、どこの警察署でも無料で配布されている。
ただし必要事項の記入をしてから提出するのは「住所のある管轄の警察署」であり、実費として2,500~3,000円程度が必要になる。(ちなみに愛知県は2,700円)
また車庫証明はプロからすると記入事項も簡単なのだが、一般ユーザーからするとミスしやすい書類の代表格ともいえる。
車庫証明の記入例
この画像は筆者が作成したものだが、ご覧いただくと「非常に簡易的」ということが分かるだろう。
ただし下記5点には注意が必要である。
- 住所は「番地」ではなく「番」だけを記載する→「住民票の住所」では「番」と記載されているため、この記入方法でなければ通らない
- 駐車場の位置が異なる場合は「保管場所の位置」の住所を変更しておく→車庫証明は自宅から「直線距離で2㎞以内」でなければならない
- 保管場所標章番号は未記入でOK→申請後に新たに発行されるので気にしなくていい
- 保管場所の所有形態→自己単独所有…所有者が「自分」のケース、その他…所有者が月ぎめ駐車場などを借りている場合、共有…土地が共有名義となっている場合
- 印鑑は認印で可→車庫証明におけるすべての書類は認印で構わないが、複写式のためすべてのページで押印が必要となる
とはいえ他の書類でも同様なのだが、警察署で正直に「初めての手続きで慣れていなくて…」と相談すると、必ず記入した内容を確認して「書き方が間違っていないか」を教えてくれる。
もちろん住所地そのものを間違えてしまえばそれまでだが、例えば「番地」と記載してしまった場合などはしっかり指摘した上で、新しい書類を渡してくれるので安心してほしい。
また、発行にはその他書類も必要になるので、下記記事より確認いただきたい。
ステップ2.陸運支局へ行き窓口に必要書類を提出
前述した内容ですべての必要書類がそろったことになるが、必要書類をそろえた後は「ナンバーの管轄をする陸運支局」にて実際に名義変更手続きをするだけだ。
ナンバーの管轄陸運支局とは、例えば「名古屋300は1234」「豊田300は1234」といった場合の、「名古屋」や「豊田」に該当する。
そして各陸運支局では対応窓口が異なるケースもあるが、基本的には「名義変更(移転登録)」といった看板などが分かりやすく掲げられている窓口に行けば、その場で手続きをすることができる。
ちなみに必要書類を提出して名義変更をするには、「OCRシート」や「手数料納付書」と呼ばれるものが必要になる。
しかし自動車関連の業者ではない場合、窓口の人名義変更のケースごとに書き方や手数料の納付方法を指示してくれるため、まったく心配せずとも「正しく記入&納付ができる」と思っても良い。
ちなみに手数料に関しては
となるため、名義変更の場でお金を用意しておく必要がある。 また必要書類の提出後、名義変更の手続きは「即日中」に完了するため、何日も時間がかかるわけではない。 名義変更は即日中に完了すると述べたが、完了後は がされる。 よほどのことが無い限り間違いはないのだが、車検証が発行されたら名義がきちんと変更されているか確認する必要がある。 そして車検証上に記載されている内容が、旧所有者の名前から新所有者の名前に反抗されていれば、晴れて名義変更が完了していることになる。 以上、名義変更を自分でする場合の手続き方法に関する解説をしたが、総額で最低3,000~4,000円程度が必要になる。 とはいえ必要書類の多くは行政機関から入手することが多く、平日にしか受け付け及び入手ができない仕組みとなっている。 つまり一般ユーザーの多くが「入手するのに時間がかかる」ということができるのだ。 そのため少しでも手間をかけずに済むよう、中古車購入予定のディーラーや販売店にて、そのまま名義変更も依頼したいと思うのが普通である。 その場合、一体どの程度のお金が必要になるのか気になるだろう。 そこで次章では、中古車の名義変更を代行依頼した場合の金額相場について、紹介していこう。 中古車の名義変更を代行依頼するとき、あなた自身の印鑑証明や住民票は自分で用意しなければならないが、それ以外はすべて代行してもらうことが可能だ。 例えば「けやきワンストップサービス」などで行うことが可能だ。 そして代行してもらうときに、実費以外に手数料を取られるのが下記の3点である。 それぞれ以下に分けて説明していくが、総額で5万円程度を見ておけば、基本的には収まると思っておいてほしい。 車庫証明の取得を代行してもらうには、普通乗用車の相場として総額1~2万円程度が必要になるケースが多い。 ちなみに筆者が勤務するディーラーでは9,800円で代行している。 とはいえ実際のところ、担当者に「中古車の購入をするのだから車庫証明ぐらい実費で対応してよ」とお願いすると、かなりの確率で受け入れてくれる。 名義変更そのものの全体的な代行手数料としては、5,000~2万円程度で代行してもらうことが可能である。 そして名変の代行は、実はディーラー自身も外注業者に依頼しているケースも多いため、値引き対応しにくい部分である。 そのため代行そのものにかかる手数料に関しては、間違いなく5,000~2万円程度かかると思っておくべきである。 県外でナンバープレートの変更も含む名義変更を代行依頼する場合には、移動距離などにもよるが2~5万円程度が必要になると思ってほしい。 というのも「車庫証明の申請~発行」や、現地での名義変更に関しては移動にかかる交通費はもちろん、人件費も数日がかりで必要になるからだ。 そのため意外とお金がかかるというのが、現状である。 とはいえ例えば筆者でも経験があるのだが、お得意様や仲の良いお客様の車を県外登録する場合には、正直なところ余分な手数料をいただいたことはない。 また筆者の兄が愛知→島根で名義変更をしたときには、担当ディーラーの営業マンは「観光がてら無料で対応します!」といって、手数料は取らなかった。 そのためディーラーや販売店との関係性から、ある程度手数料の削減を依頼することができるのも事実である。 以上の説明からも理解できたかと思うが、手数料は「代行にかかった手数分だけ取られる」ということになる。 しかしディーラーや販売店との関係性や交渉によっては、実費だけで対応してもらえるのも事実なのだ。 そのため筆者としては というのが得策だと結論付ける。 以上、中古車の名義変更に関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。ステップ3.新車検証の発行
2.中古車の名義変更を代行依頼すると2万円!?
車庫証明取得…プラス1~2万円程度
名変代行手数料…プラス5000~2万円程度
県外の名義変更…プラス2~5万円程度
3.まとめ