自動車に限らず「ローン」と呼ばれるものには必ず審査が必須となる。
その理由は借りる人、つまりあなた自身に返済能力があるか確かめるためだ。
そのため
- 自動車ローンを断られてしまうのでは…?
- 少額の融資しか受けられず、車の購入ができないのでは…?
と、審査に通らないことをイメージしてしまうかもしれない。
しかし実はそれほど心配する必要はない。
というのも自動車ローンは自動車そのものが担保になっているため、「あまりにも返済能力や信用がない」というケース以外には、通りにくいものではないからだ。
そこで今回は、自動車ディーラーの営業マンとして日々自動車ローンをオススメしている筆者が、自動車ローンの審査について詳しく解説していこう。
当ページをご覧いただくことで、自動車ローンの審査に対する不安を吹き飛ばそう!
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1.自動車ローンが通るまでの審査の流れ
まず自動車ローンが通るまでの審査に関する流れを説明していこう。
下記に箇条書きにしてまとめておいたので、ご覧いただきたい。
- 仮審査
- 売買契約を結ぶと同時に本審査
- 指定された入金日に金融機関から入金
大きく分けて上記3ステップの流れとなるが、それぞれの流れは以下に分けて説明していく。
尚、各ポイントでの注意点や「何を見ているか」といったポイントは、逐一説明していくので安心してほしい。
1.仮審査
自動車ローンの審査は、実は「仮審査」と「本審査」という2種類に大別される。
双方大きな違いはないのだが、しいて言えば
- 仮審査では「自己申告」、本審査では「必要情報の分かる書類の提出」が必要
- 仮審査は金融機関の判断、本審査は金融機関+保証会社の判断で貸し付けを決める
という違いとなる。
ただし、実際のところ仮審査時に嘘の申告をしても書類提出時に必ずバレるのが普通であり、さらに仮審査時に金融機関からOKが出ると、保証会社自体の基準も満たしていることがほとんどである。
つまり「仮審査さえ通過してしまえば、本審査は問題ない」と思っても問題ないのだ。
そのため仮審査は「現状での貸し付けの判断となるが、本番さながらの正確な結果が出る」と考えておこう。
ちなみに仮審査に関しては、下記のリンクにてより詳しく説明しているため、ぜひご覧いただきたい。
2.売買契約を結ぶと同時に本審査
仮審査に通過して、本審査に移るタイミングは「売買契約を結んだとき」であることがほとんどだ。
なぜなら順序として
- 見積提示&価格交渉
- ある程度の価格が出てきてから自動車ローンの仮審査(ここで大まかな借入額の決定)
- 売買契約をして納車日などを決定
- 売買契約という事実に基づいて、貸し付けの最終調整=本審査
- ディーラーから指定された日付までに金融機関が入金
という流れとなっているからだ。
金融機関としては担保となる車の確保ができたタイミングで、初めてお金を貸すことができると覚えておこう。
またステップ1の仮審査に通っている場合には、基本的に本審査にも通る。
なぜなら、仮審査後の本審査で通らないケースは、一般的に仮審査~本審査の間で景気変動や顧客の収入や職業などの条件が大幅に変更してしまうケースが多いからだ。
そして仮審査~本審査までの間は、車の購入商談の期間に合致するため、1週間~1ヶ月程度しか間がない。
つまりその期間中に大きな変動がない限り、基本的には「本審査も通る」と思っても間違いないのだ。
3.指定された入金日に金融機関から入金
入金日の指定は基本的にディーラーの担当者が決める。
その日付は一般的には納車日の前までとなっており、「代金の支払い→商品の受け取り」という商売の原則を守っているといえる。
しかしディーラーと顧客との力関係上、商品の受け取りが先となるケースもあるため、その点はあなた自身がディーラーの担当者に確認することになる。
とはいえ実際の入金日に関しては、ディーラーの担当者が金融機関の担当者と打ち合わせをして決められることが多いため、筆者としてはディーラー担当者に「金融機関へ連絡して入金日などの詳細は決定してほしい」と伝え、任せてしまうことをオススメする。
そうすることであなた自身が間に入って手間をかける必要はなくなり、金融機関からディーラーへ直接振り込みがされるため、確実な取引が完了するのだ。
ただし一部金融機関ではあなたの指定口座に振り込み後、あなた自身によって金融機関への入金をしなければならないケースもあるため、注意が必要である。
また入金日については、ディーラーの担当者または金融機関の担当者から必ず連絡があるため、必ず入金確認だけはするべきである。
以上が自動車ローンの審査~入金までの流れだったが、ご覧いただくと「意外とシンプル」という感想を持つだろう。
そのためあまり不安視する必要はないのだが、気になるのは「審査の際にはどのような点を見られるのか」ということだろう。
そこで次に、審査時に見られるポイントとして、通るために重要な点を説明していこう。
2.自動車ローンの審査に通るために重要なポイント
自動車ローンの審査時に見られるポイントは、大きく分けて下記の3つだ。
- 安定した収入があるか
- 約束通りの支払いができるか
- 他に借金がないか
詳細は以下に分けて説明していくのでご覧いただきたい。
ポイント1.安定した収入があるか
自動車ローンをきちんと完済させるためには、あなた自身の収入が重要になる。
そして確実に支払いがされるよう、継続して安定した収入が求められる。
つまり会社員として一定額の給与所得を得ていることが重要となるのだ。
そのため言い換えると、
- 自営業者、経営者
- 無職
- パート、アルバイト
という属性の人にっては自動車ローンは組むことが困難なケースが多い。
ただし自営業者の場合には直近3期分の確定申告書や決算書の平均値に基づいて「安定収入」と見られることがあり、結果的に自動車ローンを組むことは不可能ではない。
またその他の職業の人については、安定収入のある方(配偶者や両親など)を保証人に立てることで、自動車ローンを組むことは可能となるケースが多い。
ポイント2.約束通りの支払いができるか
約束通りの支払いとは、金融機関から指定された支払期日までにきちんと入金がされているかどうかということである。
もっと分かりやすく言うと、
- クレジットカードの引き落とし
- 水道光熱費の引き落とし
などが毎回期日通りに実施されており、支払いの遅延などがなければ「この人はきちんとお金を返してくれる」と判断され、自動車ローンの審査は通りやすくなる。
つまり上記した支払いに遅延がある場合などは相対的に通りにくくなってしまうのだ。
そして仮に遅延がある場合は、速やかに支払いを完了させることが重要になる。
何度も遅延を繰り返していると金融機関同士で共有しているデータベース上でブラックリスト入りをしている可能性が高いが、1~2回程度の遅延であれば「まだ審査に通る可能性は高い」と思っても大丈夫だ。
ポイント3.他に借金がないか
自動車ローンは他に借金がある場合には、審査に通らない可能性が高い。金融機関側の目線で考えるとよく分かるだろうが、「他の借金を優先して返済されてしまうと、自社の借金は返してもらえないのでは…」と思ってしまうのだ。
そのため他に借金がある場合には、自動車ローンの審査に通らない場合がある。
ただし借金の種類として住宅ローンを組んでいる場合には、審査の判断基準に含まれないことが多いため、心配しなくてもいい。
また他の借金がある場合でも少額である場合には無視して審査を通してくれるケースもある。
とはいえ判断基準は金融機関ごとに異なるため、筆者としてはどのような状況であっても「いくつかの金融機関で仮審査をしておく」ということをオススメしている。
なぜならいくつかの金融機関で仮審査をしておけば、審査に通過する可能性が高まるとともに「低金利の金融機関で自動車ローンを組める可能性も高まる」ということができるからだ。
ちなみに審査を通過させるために「借金はない」などの嘘をついたとしても、先程述べた金融機関同士のデータベースで共有されているため、確実にバレてしまう。
そのためバレて信用を失うのではなく、最初から正直に申告することをオススメする。
以上の解説から、今自分が置かれている状況が審査通過の可否について、何となく理解できたのではないだろうか。
ただし「どうしても自動車ローンの審査に通過しない」というケースもあるため、その場合の対処法を次章にて紹介していこう。
3.自動車ローンの審査が通らない場合は「ディーラーローン」を活用せよ
金融機関の自動車ローン審査が通らない場合には、実はディーラーローンを活用すると審査に通りやすくなる。なぜならディーラーは自社の販売台数や売り上げ確保のために、審査を通りやすくして売りやすい環境づくりをしているからだ。
また仮に返済ができなかった場合、担保として車を取り上げたとしても金融機関よりも高く売却が可能であるため、「元を取る」ということが可能になる。
そのため一般的な金融機関よりも審査が通りやすいのだ。
実際に筆者の顧客でディーラーローンの審査に通らなかった人は今までに一度も見たことがない。
とはいえやはり
- 無職
- 自営業、経営者
- パート、アルバイト
という属性の人には厳しい側面もあるため、決算書や保証人、頭金の一部充当などの条件が付くケースもある。
ここまで聞くと「それなら最初からディーラーローンで検討したほうが安心だし、ラクなのではないか」と感じたかもしれない。
しかし筆者としてはディーラーローンの活用は積極的にオススメできず、基本的には金融機関にて自動車ローンを組むことをオススメしている。
その理由は次章にて解説するディーラーローンのデメリットにある。
4.ディーラーローンは金利が高い
ディーラーローンのデメリットは単純に「金利が高い」ということだ。実際に筆者が調べた結果では、ディーラーが提供するローンや残クレといった購入方法の金利と、金融機関の金利は下記のようになっている。
種別 | 企業名 | 金利 | |
---|---|---|---|
最低(%) | 最高(%) | ||
ディーラー | トヨタ | 4.50 | |
日産 | 1.90 | 4.90 | |
ホンダ | 1.90 | 3.50 | |
スバル | 3.90 | ||
マツダ | 2.99 | ||
三菱 | 2.90 | 3.90 | |
スズキ | 2.90 | 3.90 | |
ダイハツ | 3.50 | ||
金融機関 | 三菱UFJ銀行 | 2.975※変動金利 | 2.975※変動金利 |
損保ジャパン日本興亜 | 1.95 | 2.85 | |
静岡銀行 | 2.40 | 5.30 | |
名古屋銀行 | 2.70 | 3.20 | |
三井住友銀行 | 4.475 |
※参考出典元 トヨタ自動車の公式ホームページ 日産自動車の公式ホームページ ホンダファイナンシャルサービス スバルファイナンス マツダクレジット MMCダイヤモンドファイナンス スズキファイナンス ダイハツ 三菱UFJ銀行 損保ジャパン日本興亜 静岡銀行 名古屋銀行 三井住友銀行
ディーラー金利を見ると1%台のものもあるが、これらはすべてキャンペーン金利で「特別に低くなっている」ものである。
そのため一般的にはディーラーで3~5%前後の金利が多いのに対して、金融機関では2%台の自動車ローンが多いということが分かる。
つまり安易にディーラーローンを活用してしまうと、金利分の損をしてしまうことになるため、複数の金融機関で審査をして、最後にディーラーローンの活用をすべきなのだ。
とはいえ様々な金融機関で仮審査の手続きをするのは面倒くさいだろう。
そこで筆者としては、ネットで簡単に仮審査の申し込みができる金融機関をオススメする。
中でも上記した表中の
- 三菱UFJ銀行のマイカーローン
- 損保ジャパン日本興亜のマイカーローン
の自動車ローンに関しては、低金利かつ迅速な対応に期待できるため、最もオススメということができる。
実際に仮審査をする手続き方法に関しては、下記に説明していこう。
三菱UFJ銀行、損保ジャパン日本興亜の仮審査手続き方法
実は 三菱UFJ銀行のマイカーローン と 損保ジャパン日本興亜のマイカーローン の仮審査手続きは、非常に簡単である。
なぜなら申し込みボタンから進み
- 口座がある場合には口座番号や暗証番号(三菱UFJ銀行のみ)
- 氏名や住所などの申し込み情報
- 借入希望金額
- 年収
- 他の債務(借金)
などの情報を入力するだけだからだ。
そうすると三菱UFJ銀行では最短で即日中に、損保ジャパン日本興亜では最長で12営業時間内に仮審査の結果を提示してもらえる。
実際に双方とも筆者自身が試しに入力してみたが、5分もかからなかったため、まさに最短時間でお手軽に仮審査まで済ませられるのだ。
また審査結果から実際に融資を受ける場合でも、必要書類はスマホやFAX、郵送などで送付するだけでよく、実際に窓口へ行く手間が省ける。
そのためぜひ一度仮審査を依頼して「実際に低金利で希望額が借りられるかどうか」を判断することがベストな選択肢といえるだろう。
4.まとめ
以上、自動車ローンの審査に関する解説を終了するが、最後に当ページの内容をまとめておこう。
- 自動車ローンの審査の流れは3ステップに分けられ、「借りたお金を間違いなく返済できるか」が審査に通るポイントとなる
- 金融機関での審査が通らなかった場合には、ディーラーローンを活用すると通りやすくなる
- 「自営業者」や「無職」の場合には審査が通りにくくなるため、決算書類や保証人、頭金などが必要になるケースもある
- ディーラーローンは金利が高くオススメできないため、まずはネットから金融機関の仮審査を受けることがオススメ